投稿日:2010-01-28 Thu
堕神様と書いて「おちがみさま」と読みます。ではでは、家族旅行編はじまりはじまり〜
(お詫び)ハイパー長いです。
「(さて、どうしたものか…)」
いきなり途方に暮れてしまう。
1月1日ー
毎年仕事柄、正月三が日に休みを取れることなど無かったのだが、今年は奇跡的に1日2日と連休を取ることが出来た。
折角取れた連休だ、家族サービスに勤しもうと一泊二日の温泉旅行を企画したが、今度は肝心の家族が元日から勤務になってしまった。
いきなりポッカリと空いてしまった連休。 それなら、と、本来は一から十まで計画を立てて行動をする性分なのだが、今回は全くの無計画で何処かへ行ってみようと計画を立ててみた。
そうして小さなリュックにおにぎり飲み物と着替えを詰め、地元の駅から隣一駅の「標先(しべさき)中央駅」まで出てきてみてはしたものの、どうすれば良いのか、どこへ行けば良いのか全く見当が付かず、現在に至る。
しかし、正月とはこんなにも人がいないものなのか…
乗ってきた電車に数人客を見かけたものの、彼らがホームの階段を降りていってしまうと、近辺には誰ひとりとしていなくなってしまった。
今立っている3番線から遥か遠くの10番線まで、たまたま電車も一両も停まっていなかったせいで見渡すことが出来たのだが、本当に人っ子ひとりいないのだ。
先程の客達がいなければ、まるで世界に自分しかいないような錯覚にとらわれていたであろう。
と、そんな折。
10番線に特急列車が入って来た。 それと時を同じくして、10番線ホームに人影が現れた。
驚きのあまり、一瞬言葉を失う。
ハッキリと見覚えのある姿、こんな遠くからでも一発で「彼」だと判別出来る。
偶然の出会いが嬉しくて、声をかけようとホームの階段を2段とばしで駆け下りる。 そのまま10番線へ直行し階段も一気に駆け上る! と、目標の人物がこちらに気が付き驚きの表情を見せた。
「新郷…?」

「大河原…」
「そっかー、美咲ちゃん、仕事入っちゃったんだー」
「うん…」
「で、新郷これからどうすんの?」
「いや…さてどうしたものかと」
「じゃあさ! 一緒に京都行かない!?」
「…京都?」
ふと電光掲示板に眼をやると、10番線特急は確かに「京都行き」となっていた。
ー京都か。 修学旅行で行ったっきりだな…。 それを大河原と一緒に、か。
何だか修学旅行のやり直しのようで心が少し踊るのを感じた。
即答しようとしたが、次の瞬間、大河原の口から意外な台詞が飛び出した。
「向こうに俺の義兄さんが住んでてさ、温泉旅館タダで招待してくれたんだー!」
「(にいさん!!?)」
小説を読んでいる訳ではないので台詞の漢字構成などわかる筈も無く、言葉通りの「兄さん」を想像する。
「い、いや、やはり遠慮させてもらうよ。 向こうに住んでるってことはお兄さんに会うの久しぶりなんだろ? 邪魔しては悪いし…」
「何気ぃ遣ってんだよ! 一緒に行った方が楽しいじゃんか!!」
「い、いや…しかし…」
ニコニコ顔で捲し立てる大河原に、正直迷う。 どうしようかと決めかねているとピリリリリリ!とホームに電子音のベルが鳴り響く。
「ほらほら! 乗った乗った!!」
大河原と、発車を告げるアナウンスに背中を押され、新郷は戸惑いながらも「じゃぁ…」と恥ずかしそうに微笑みつつ、京都行きの特急に乗り込んだ。
フゥウウウンと独特の音を立て、電車がホームを滑り出す。
一路、京都へ。
「美咲ちゃんに知らせなくて大丈夫?」
大河原の言葉に「そうだな…」と携帯を取り出すと、さて、何と打とうかと文章を考える。
大河原と京都旅行、そう書くのが何だか気恥ずかしかった。 只でさえ我が妹は自分と大河原の仲を一度誤解しているのだ。 またイチャイチャ旅行などと考えられては堪ったものではない。
考えた末、(京都の温泉に行くことにした。 心配無用)とだけメールすることにした。
新郷中佐、死亡フラグ回避!!!
二人が乗り込んだのは5番車両だが、大河原はいきなり最後尾に新郷を連れて行った。
「この電車、全席指定席だから」
そう言って、車掌席のドアをノックする。 新郷用の切符を買うためだ。
顔を覗かせた車掌は一度奥に引っ込みどこかに連絡すると、指定席の切符を一枚発行してくれた。
礼を言って進行方向に二人で歩いていく。 大河原が席を取ったのは3両目だそうだ。
しかし、ここに来ても正月とはこんなにも人がいないものかと驚かされる。
そう、誰もいないのだ。
6両目、5両目、4両目に入ってようやくトイレの「使用中」が目に入り、他にも客がいるらしいことがわかるも、信じられないような利用状況だ。 正月に京都へ行く人間はそんなにも居ないものなのだろうか…?
3両目デッキの自販機のブゥウウウンという低い唸り音が、やけに不気味に聞こえる。 怖がりというわけではないが、こういう非日常的な状況は少し苦手なのかもしれない。
と、3両目の自動ドアが静かに開くと、ようやく席に座っている人影が目に付き、ほっと胸をなで下ろす。
そうか、先頭車両から席を埋めていくシステムなのかもしれない。
そう安堵したのも束の間。 席を向かい合わせにして座っている人物の姿が目に入った瞬間、新郷は驚きを隠せなかった。
進行方向とは逆向きにした席に座っている人物は良く見えない。 手前に座っている人物が大きすぎるのだ。
さて、問題はその「手前に座っている大柄な人物」だ。
2色に分かれた頭髪、側頭部より伸びる大きな角。 その姿を、新郷は大河原の勤め先で見た覚えがあった。
「なぁ、大河原…」
「何?」
「お前…一人旅じゃないのか…?」
クルッと振り向くと、手にしているものをクイッと顎で指した。
「新郷って意外と観察力無いよな。 ほら、駅弁3つ持ってるじゃん」
「いや、大河原一人で食うのかと…」
「食わないよ! 向こうで美味しいものいっぱい食べるんだし」
…食えない、とは言わないんだな…
「と言うかだな、お前これ社員旅行とかじゃないのか? あそこに座ってるの、お前の店の人だろ?」
「あぁ…! うん、そうだけど、ちょっと違うよ。 ほら、こっち来いよ! 遠慮とか無い無し!!」
そう言われて近づいたものの、新郷はそこで完全に言葉を失った。
理由は簡単。 今まで大柄なその人物の影に隠れて見えなかったもう一人の姿が、完全に視界に入ったからである。
「二人とも注も〜く! 旅の仲間が増えましたー!!」
「虎鉄、お前乗り遅れるかと思ったぞ?」
鬼種の人物が声を出すと、大河原はスイマセンと笑いながら謝った。
「はい、じゃあ紹介しまーす! 自分の高校時代からの友達で、新郷真樹君でーす!! で、新郷、 こっちが店で働いてくれてる副店長の二口隼人さん。 通称にろさんで、俺の叔父さんなんだよ」
にろさんに挨拶され、新郷も反射的に挨拶する。
挨拶してくれた叔父さんには申し訳ないが、正直頭に入らない。 何故なら…
「で、こっちが…うん、まぁアレだよね、見てわかると思うけど…」

「俺の父さん。」
石蔵鉄志だギャァアアアアアア!!!!!
「(うわー!! うわぁあああー!!! 凄い…本物だよ!! 本物の石蔵鉄志だよ!!!
テレビで見るのとまんまだよ!!! マジでかっけぇえええ!!!!! ナマ石蔵鉄志!!!
和服も格好イイけど、洋服も意外と似合うっていうか、マジかっけぇエエエ!!!!!)」
新郷君は本気の石蔵鉄志ファンなのである(笑)
「はじめまして、虎鉄の父で鬼頭 鉄志と申します。 もうお気付きかも知れませんが、今日は父として接して頂けると嬉しいです。 どうぞ宜しく。」
挨拶をされ、完全に惚けていた自分に気がついて咄嗟に我に返るも、挨拶は赤面のまま且つしどろもどろとなってしまった。 自分が何と挨拶したのかも全く思い出せないほどテンパッていた。
大河原はそのまま父の隣りに座り、新郷はにろさんの隣りに座ることとなった。
少し残念な気もしたが、隣になんて座ろうものなら平常心を保てる自信が無い。 かえって良かったのかもしれない。
と。
「新郷君」
いきなり父、鉄志に声を掛けられ、ハイっと上ずった声で答えてしまう。
「な、何でしょうか…?」
「新郷君、君は高校時代からの友人なんだね。 虎鉄が、私達家族のせいで荒れてしまっていた時から、ずっと…。」
そう深い声で言いながら、スッと新郷の手を取った。
「ありがとう…」
うわぁあああ!!! 良心痛ぇえええ!!!!
どう弁明しようかと考えていると、隣のにろさんの瞳がギラリと光った。
「新郷君、キミ…」
「は、はい…?」
「ひょっとして、虎鉄の父親が石蔵鉄志だと知っていたのではないかね?」
ドキッ
「まさか、それが目当てで虎鉄に近付いたのではあるまいな…?」
凄みの効いた声だ。 ハッキリと怒気が込められている。 眼鏡の向こうの鋭い眼光が新郷を射すくめる。
手を握ってくれていた鉄志の表情にも僅かに戸惑が浮かぶ。
いかん、良心に苛まれている場合ではない! ちゃんと話さなくては…そう思い、口を開きかけると
「隼人君。」
鉄志が戸惑いの表情を消し、義理の弟を見据えた。
「いけないよ、そういう物言いをしては」
「! に、義兄さん…?」
「新郷君はそんな方ではないよ。 少なくとも虎鉄はそう信じている。 そうだろう? ならば私もそう信じる」
その言葉に、先程まで凄みの効いたオーラを放っていたにろさんが、相当焦って顔を真赤にしながら俯いてしまった。
「も…申し訳ない…新郷君。 ちと深読みが過ぎたかもしれん…」
完全に撃沈である。 意気消沈してしまった叔父に、
「い、いえ! こちらこそ申し訳ありませんでした」
焦って声をかける。 背筋を伸ばし、にろさんに頭を下げる。
「…お父さんのこと、知っている事を隠していたのは事実なんです。 誤解させるような態度だったのかもしれません。 本当にすみませんでした」
先程までのあたふたした態度とは明らかに違ったその態度に、にろさんも少し驚く。
新郷は察していた。 父が息子を想い、自分の手を握ってくれたのと本質は変わらない。 この叔父さんも、甥っ子が可愛くて、目の前の相手がその甥っ子を傷つける存在ではないかと不安を抱いたのだ。
この二人がいがみ合ったり落ち込んだりなど、あるべきではない。 そう思い、全てを話そうと決めた。
決心が固まると、意外と言葉が突いて出てきた。
高校時代、例の暴力事件で大河原のことを幼稚な正義感で嫌ったこと。 卒業後に真実を知り、ずっと謝りたかったこと。 出来れば友達になりたかったと話すと、大河原は顔を真赤にした。 そして再会。
それとは別に、小学生の頃から熱狂的な石蔵鉄志ファンであったことも話した。 この時は流石に新郷の顔も真っ赤である。 映画もドラマも全て見ており、ビデオやDVDも全てコンプリートしていると暴露した。 ただ、高校時代は大河原の父について何も知らなかったこと、再会して友人になれた後に知ってしまって戸惑ったこと、これだけは信じて欲しいと述べた。
知ったきっかけが妹さんであり、彼の妹が例の観覧車の女性従業員であることを聞いた時は、鉄志も心底驚き、且つ息子や新郷同様、赤面する事となった。
最後に、大河原に向かい、
「ゴメンな、色々黙ってて」
そう言って頭を下げた。 大河原も焦っていいよいいよ!と新郷に顔を上げるよう促した。
店長がふと気になってチラリと父と叔父に目を遣るも、その心配は杞憂に終わったようだ。
父も、叔父も、完全に歓迎ムードになっていた。
再びガッと新郷の手を握ると、父はテレビでは見せない、「優しい父親」の表情を見せた。
「キミのような友人が虎鉄に出来たこと、本当に嬉しいよ!」
うっすらと目に涙まで溜めている!!
「しかし、虎鉄の周りには本当にイイ男が揃ってるよなぁ」
にろさんが顎に手をやりながらムゥン、と唸った。
「これは本当に選り取りみどりだなぁ、なぁ! 虎鉄!」
その一言の意味がわからずキョトンとする新郷とは対照的に、店長の顔は驚きと焦りで再び真っ赤になった!
「ちょっ…!! 何言い出したんですか!!? 意味わかんない!!!」
そう言いながら、父の耳に口を持っていく。
「(父さん!! にろさんにバラしたんですか!? 自分の事!!)」
「(い、いや…むしろ私の方が最初に隼人君に教えて貰ったというか…)」
「…何をヒソヒソ話しているんだ、大河原…?」
「い! いやいや!! マジで何でもないから!! もう〜、にろさん〜!!!」
ハハハと叔父は笑い、折角だからサインを貰ってはどうかと笑顔で促す。 微笑む父に焦る友人。 そんな皆に囲まれて叔父をジトッと睨みながらも実は楽しくて仕方がない息子。
そんな和気藹々とした彼ら一団を、遠くから見つめる視線があった。

スーパーストーカーコンビ、推・参!!!
「…万事、うまく行っておるようだな」
「は。 全て滞りなく。」
後から乗り込んできた店長と新郷をトイレに潜んでやり過ごしたこの二人。 四人が騒いだりしている隙を突いて自動ドアを開け、気配を完全に殺して最後尾座席に滑り込み、現在に至る。
さて、駅のホームに人が全然居なかったのは偶然であるが、この特急列車に客が全くいないのは彼らの手によるものである。 そう、この列車の指定券は店長達の席以外全て彼らが買取ったのである!!
さらに言うと、普通に国土交通機構に席を置いている車掌も、実はゼブラに所属している暗殺者である! 先程確認の為に電話した先は、総裁代行こと石動鷹継の携帯なのだ!
こうして彼らゼブラの暗躍により、見事この特急列車は完全な貸切状態となったのである!!!
組織力無駄使いもイイ所である(笑)
「石動よ」
「は。」
「わしもあの集団に混ざりたい…」
「は。 しばしお待ちください。」
いきなりの無理難題も、決してこの有能な部下は「無理」とは口にしない。
三人は駅弁を、一人は鞄に入れてあったおにぎりを食べ始めながら歓談している。 その姿をしばし眺めていると、鷹の目が獲物をカッと捉えた!!!
「総裁。」
「何じゃ?」
「喉が乾きました。 『午後の紅茶・アップルティー』が飲みたく存じます。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「…買ってくれば良かろう」
「は。 しかし先程の状態ならともかく、今は皆様落ち着いてお食事中にございます。 自動ドアが開きましたら、位置的に虎鉄たん?はお気付きになられることと存じます。」
「…『たん』は今から使用禁止じゃ」
「は。 然して私の背丈ですと気配を殺してもまず間違いなく虎鉄様の視界に入ってしまうものと存じます。 ですが、総裁の背丈ならば手前に座っておられる新郷様の背丈から死角となり、ただ自動ドアが何かの拍子で空いただけと誤認させることが可能となりましょう。」
「…わしに買って来いと言っておるのか…?」
「そのような恐れ多い…。 しかし、このままでは午後の紅茶を飲みたい心に気を取られ、真直ぐに集中することができなくなり、大切な瞬間を見逃すことが起こりうるやもしれません。」
「…買ってくればいいんじゃろう!」
プンプンと怒りながら、自動ドアを開けると気配を完全に殺してスッと向こうへと姿を消した。 惚れ惚れする動きである。
歓談中の四人は誰一人、この動きに気付かなかった。
さてその四人の内の一人、虎鉄に変化が訪れた。
弁当を食べながらお茶を口にした瞬間、ハッと息を飲んだ。
お茶が既に空になっていたのだ。
「なんだ大河原、もうお茶飲んでしまったのか?」
「うん。 どうしようかな。 あ! そこに自販機あったよね。 ジュース買ってくるわ」
「虎鉄、私の茶をやろうか?」
見ると、鉄志は自分の茶に殆ど口を付けていなかった。 というか、店長以外の三人は殆ど飲み物が減っていない。
が。
「いいですよ。 父さんのお茶取るのもあれですし。 じゃあちょっと行ってきますね」
そう言うと、尻尾を振り振りしながら後ろの自動ドアを開けた。 自動ドア横の席に座っている石動に気付かないのだから、彼の気配を消す技術は尋常ではない。
「…虎鉄、お父さんの口をつけたお茶なんて飲みたくなかったのかなぁ…」
ポツリと小さく呟いた父・鉄志の声に気付き、新郷とにろさんが眼をやると、

パパが真っ白に!!!
「うわぁあああ!! 義兄さん、そんな事全然無いですよ!!! そもそもちゃんと今は二人でスキンシップもしてるでしょう!!?」
「そそそ、そうですよ!!(良く知らないけど) 大河原なら多分言葉通り、お父さんに気を遣ったんですよ!!!」
お父さんの一大事!!
が! ここにもう一人、一大事の人物がいた!!!

じいちゃん大ピーンチ!!!!!
「あの、何なさってるんですか? 駄目ですよ、自販機蹴ったりしちゃ…」
「い、いや…あの…」
店長がズイっと近づく。 あたふたしまくる祖父、虎伯。
「うわぁ…! あ、すいません、でも凄いですねぇ…こんな所で同じ虎獣人に出会えるなんて。 しかも、同じ鬼牙…! 何だか嬉しいなぁ」
一見責めている口調に思えたのだが、良く見ると虎鉄は嬉しそうに微笑んでいた。 そのまま自販機に眼をやる虎鉄。
「どうかしたんですか? 故障?」
「いや…そ、その…いくら金を入れても戻ってきてしまうのだ…」
怒りながらも少し困った表情を見せ、虎伯が言った。
彼が手にしているお札を目にして、虎鉄はすぐに原因がわかった。
「他にお札持ってらっしゃいますか? 出来れば千円札を」
「せ、千円札…?」
虎伯が黒い革張りの財布を開く。 お札しか入ってないように見える、小銭もカードも持たない性分なのだろうか。
しかし、その札の量がハンパ無かった。 しかもその全てが万札だったのだ。
「自販機、一万円札使えないみたいですよ?」
そう笑顔で言いながら、札入れの上の一万円と5千円に記されたバツ印を指さす。
それを目にした瞬間、虎伯の顔が真っ赤になった!
こんな事にすら気が付かなかったなんて…
席に戻って部下に金を借りようと目を伏せて踵を返すと、
「どれ飲みますか?」
ニコニコしながら虎鉄がボタンを指さした。 手持ちの千円札を入れたらしく、全てのボタンが明るく光っていた。
「い、いや…わしは…」
「遠慮なさらないで下さい。 本当にお会いできたのが嬉しくて、何と言いますか…お近付きの印です」
そう言いながら、自分が飲む分のミルクコーヒーのボタンを押す。
ガコン、と音がすると取り出し口から缶コーヒーを拾い上げ、小首を傾げて<何にします?>のリアクションを繰り返す。
「その…わしの相方の分で、それを…」
少し背伸びして、目的のものを指さす。 虎鉄はニッコリ笑ってボタンを押すと、出てきた缶を手に取り、どうぞと手渡してくれた。
「ご自分の分は、どれが宜しいですか?」
「え!!? わ…わしのかね!?」
コクリと頷く虎鉄。 恥ずかしくて転げ回りそうになりながらも、小さく「君と同じものを…」とだけ口にした。
虎鉄が買ってくれてる間に、彼が来るなら一言知らせれば良いものを…!と胸元に入れてある携帯をチラッと見ると「メール1件」の表示が…。 有能な部下はきっちり仕事をこなしていたらしく、ただ自販機を蹴るのに夢中だった自分が気が付かなかっただけらしい…。 これでは叱り様も無いではないか…。
二人で缶ジュースを持って客車に戻ると、先程全く居る事に気が付かなかった人物が後部座席に座っていることにビクっと驚く店長。
虎伯はササッと石動の元に寄ると、耳に小さく「240円!!」と囁いた。
「は。」と小さく言うと、胸元から虎縞模様のがま口を取り出す。 パチンと開けたとき
「いや、本当に良いですから。 それより…」
店長はその大柄な人物をそっと覗き込んだ。
無表情のムッツリ顔と目が合うと、パーッと笑顔になる。
「やっぱり! 偶然ですねぇー! どうも、お久しぶりです!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ナヌ?
「は。 先だってはお世話になりました。」
「あ! もしかして、虎獣人の写真を欲しがっていらっしゃったのって、こちらの方ですか?」
「は。 たいへん喜んで頂け、私も感無量でございました。 誠にありがとうございました。」
うわー!と大喜びの声をあげ、ちょっと待ってて下さいと言うと自分の席に戻り、全員に何やら話をしだした。
「…石動よ」
「は。」

「何チョクで写真撮っとるんじゃぁあああ!!!」
「は。 流石は元トリプルSの殺し屋と申すべきでしょうか、あの者に全く一分の隙もありませんでした故、早々に隠し撮りを諦めた次第でございます。」
「キサマァアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
どうりで照れてる写真ばっかりだった筈だよ!!!
と、向こうから虎鉄の呼ぶ声が聞こえた。
「こちらへいらっしゃいませんかー!!? 折角ですし、ご一緒しましょうよー!!」
嬉しそうにブンブン腕を振っている。
「…う、うむ! りょ、了解しました!」
そう珍しく大きな声を出すと、少し嬉しそうにこちらを見る部下の視線に気付く。
「何じゃい!」
「は。 ミッションコンプリートでございます。」
…どこからどこまでを計算していたのかは分からないが、虎伯の「あの集団に混ざりたい」という願いは見事に叶えられたわけである。
この部下の有能さが、時に小憎らしい。 小憎らしいほど、完璧なのであった。
彼らの席に行くと、世界でも希少種の虎獣人と鬼種が現れ、座っていた虎獣人と鬼種が流石に驚いていた。
何より驚いていたのは、世界で最も多いタイプの獣人・犬獣人の新郷であろう。 まさか自分が希少種に囲まれて少数派に回ることがあろうとは…。
「では、こちらに座らせて頂きましょうな」
そう、虎伯が通路を挟んだ席に座ろうとすると、
「折角ですから、同じボックスに座りましょうよ」
と虎鉄が提案した。
しかし、既に四人がみっちり座っていて自分達が座れる余裕など無い。
と、虎鉄が席を立った。
「新郷、ちょっと立って貰っていい?」
一瞬「?」となったが、なるほど。 ここは自分が隣の席に行くのが一番であろう。 そう考え席を立つと、今まで新郷が座っていた席に虎鉄が座り、「カモン!!」 そう、言い出した。
再び「?」の新郷君。
そして結局ー

こうなりました。
「で、あとは父さんがにろさんの膝に座れば席がふたり分空きますよね!」

「何言い出したんだ虎鉄!!!?」
「だって、図体がでかい方が下になる方がイイでしょ?」
「だだだ、駄目だ駄目だ駄目だ!!! にに、義兄さんにそんな事させられるか!!!」
慌てふためくにろさんにパパが「?」でいると、石動が声を出した。
「いえ。 一つ席を開けて頂ければ十分と存じます。 こうすれば。」

凄いフィット感!!!!!
かなり不服な体勢だが、ここは仕方があるまいと諦める虎伯。 ハァと小さく息を漏らすと
「すみませんな、折角の家族旅行にお邪魔させて頂いて」
彼なりに気を遣った。 つもりだったのだが…
「…何故家族旅行とお分かりに?」
にろさんが少し不思議そうに訊いた。
うっ!!
彼の顔を見ると、表情は少し不思議そうにしているも、その瞳は全く笑っていない、こちらの心の奥底まで見透かすかのような鋭い眼光を放っていた。
そう、事情を知っていればこの集団が「家族旅行」で来ていて、そこに友人が同行したとわかるのだが、傍から見れば一目で家族旅行とは決して分からないであろう。
しくじった…!!!
迂闊な言葉を発してしまったことを悔やみつつ、どう弁明しようか思いを巡らせていると
「申し訳ありません。 私が余計な事を言ってしまった所為で、主(あるじ)に誤解をさせてしまったようでございます。」
石動がすかさずフォローに入った。
「? 余計な…?」
「は。 以前そちらの虎鉄様にお会い致しました折、私と同じ鬼種の叔父がいらっしゃる事をお聞き致しておりました故、てっきり御家族旅行かと思いまして、我が主にそうお話してしまった次第にございます。」
「…そうなのか? 虎鉄?」
「えぇ。 そういえばお話しましたねぇ。」
「角は無くとも一目で鬼種と分かるでしょうし、いつも人目を気にしている私の心を和らげるためにお話して下さったのでしょう。 珍しくなんて無いですよ、そう仰って頂けた時は本当に嬉しゅうございました。 ですが私の早計で誤解を招く結果となってしまいました。 誠に申し訳ございません。」
「いやいや! そういう事でしたらこちらこそスイマセン! お察しの通り、家族旅行なのです。 いや、どうしてわかったのかと不思議だったもので」
「そうでしたか。 安心致しました。」
二人の鬼種の話を、内心冷や汗で聞いていた虎伯。 部下が有能で本当に良かった…。
しかし、この叔父もかなりのクセモノである。 不思議に思ったなどと言っているが、明らかにこちらを伺っていた。
どうもこの種族は感が鋭いというか…油断ならない。
「じゃあ自己紹介しましょうね!」
虎伯の思いとは裏腹の明るい声で、虎鉄が声をあげた。 彼にしてみれば今のやりとりもちょっとした誤解程度でしか無く、楽しい旅行は現在も更に勢いを増して進行中なのだ。
「自分は大河原虎鉄と言います。 以前お会いした時も名前は言ってませんでしたよね?」
コクリと石動が頷く。
「で、こっちが自分の友人のー」
「はじめまして。 新郷真樹と言います。」
三人がお辞儀を交わす。
「隣が先程もお話に出ましたけど、自分の叔父さんのー」
「二口隼人です。 本当に失礼致しました。」
そう言って頭を下げると、虎伯がイヤイヤ!と首を横に振り、自分も頭を下げた。
「で、最後に自分の父さんです」
「はじめまして。 鬼頭鉄志と申します。 道中、楽しい時間を共に過ごせると嬉しいです。」
立派になった息子に、一瞬言葉が詰まる。 軽くお辞儀をして、何とか誤魔化した。
ここで何かを口にすれば、また余計な事を言いそうだったというのもあった。
ふと、虎鉄が石動の妙なリアクションに気付く。 小首を傾げ、少し考えるような仕草をしたのだ。
「あ、そうか! 苗字違うの変ですよね!」
「! 申し訳ございません…失礼かと存じまして…」
「いいんですよ! まぁ、うん、色々あったとしか説明出来ないんですけど、仲が悪いとかそういうのじゃありませんから。 あ、あと婿入りしたとかでもないです! 自分独身ですから」
「そうですか。 いや、それだけわかれば十分にございます。 ありがとうございます、大河原様」
そうか…ここで疑問に思うのが普通のリアクションか! 危うく普通にスルーするところであった…。
と、ここでこちらの出番である。
鬼頭、そう名乗ろうとした時、流石に「鬼頭」はマズイであろうと思った。
何せ既に虎獣人が一人「鬼頭」を名乗っているのだ。 同じ虎獣人で同じ苗字はマズ過ぎる。 下手な事を言えば折角解けた鋭い叔父の警戒心がまた元に戻ってしまう!
考えた末ー
「では改めまして。 はじめまして、私、石動虎伯と申します」
沈黙。
「い…する…ぎさん…? 変わった苗字ですね」
虎鉄の疑問に
「石に動くと書くんじゃないかな?」
にろさんが的確に答えた。
「そうですそうです。 ちなみに『こはく』は『とら』に兄おじの、にんべんに白の『はく』と書きます」
「へ〜! 何だか芸名みたいな格好良いお名前ですねぇー!」
ハハハ、と笑うと帽子を脱いでお辞儀をした。
途端、虎鉄が驚きの声をあげた!
「うわー!! 金髪!! それに瞳…凄い綺麗なブルーなんですねぇ…! うわー!! 格好良いなぁー!!!」
「こら虎鉄、外見的特徴をあまり大仰に言うのは」
窘(たしな)めようとしたにろさんに
「はは、構わんですよ」
笑いながら手を振る。 何だか嬉しくて、ニコニコしてしまう。
「気に入ってくれましたかな?」
「はい! ホワイトタイガーは瞳が蒼いって聞いてましたけど、自分と同じ黄色の虎で蒼い瞳なんて…綺麗だなぁ」
ますます嬉しくなるも、「それで、後ろの方は?」という虎鉄の一言に、気持ちが一気に冷めた。
というか、青ざめた。
「(石動〜!! 頼むぞ〜!!! 空気読めよ〜!!!!)」
じいちゃんの願いも
「は。 いするぎ鷹継と申します。」
あっさり砕け散った。
アホかぁああああああああああ!!!!!
「え? 石動?? 同じ苗字なんですか?」
不思議顔の虎鉄!! ほら見ろ! 叔父貴めっさ睨んでる〜!!!
ところが。
「は。 同じ読みですが漢字が違います。 私の『いするぎ』は漢数字の『五』に駿河の『駿』、それに樹木の『木』で『五駿木(いするぎ)』と読みます」
「へ〜、そういう苗字もあるんですか。 にろさん知ってました?」
「いや…流石に知らんな」
「は。 大変珍しい苗字のようでして。 この『漢字は違うが読みは一緒』という苗字がご縁となりまして、主にこうしてご懇意にして頂けております次第にございます。」
へ〜、と一同感心した。
一番感心したのは他ならぬ虎伯である。 良くもこうポンポンとデマカセが出るものである。
「じゃあ、お呼びする時どうしましょうか? 苗字じゃわかりにくいですね」
「は。 もし宜しければ下の名前で呼んで頂けるとありがたく存じます。」
!!
「そうですね、じゃあ虎伯さん、鷹継さんで良いですか?」
コクリと頷くと
「じゃあ自分のことも良ければ下の名前で呼んでください。 皆は?」
「私も下の名前で構いません。」
「そうだなぁ…私は『隼人君』でも『にろくん』でもどちらでも」
「お、俺もか? 大河原…?」
「そうだね、新郷は『新郷』だよね。 いきなり新郷を名前で呼ぶのも呼ばれるのも何か変だもんね」
そう言って、皆で笑った。
下の名前で呼び合う為に、敢えてこう仕向けたのだろうか…?
本当に、本当に…この部下は 出来すぎて小憎らしい
「で! でですね!! 自己紹介も終わったところで、さっきからずっと気になってるんですけど訊いても良いですか!? もしかして鷹継さんって虎伯さんの『執事さん』なんですか!!?」
皆の視線が一気に集まる!!
そうか、傍から見るとそういうふうに見えるのか。
店長的には「執事」は大好物なネタである(笑) 主と執事のストイックな関係にはいつだって胸がどきどきである!
が、予想は外れた。 というか
「は。 そういった関係ではございません。 私が虎伯様を『主』とお呼びするのは、精神的にも肉体的にも私の『主』だからにございます。」
予想の遥か上を行かれた!!!!!
「え? え?? すいません、自分エッチな想像しちゃいました…」
「は。 恐らくそれで正解かと存じます。」
「えぇええええ!!!? そうなんですか!? そういうご関係なんですか!!!?(ハァハァ)」
「は。 虎伯様は至って普通と存じますが、私の性癖に合わせて下さっているのでございます。 ちなみに申し上げれば、立ち位置的には私が『受け』にございます。」
Wギャァアアアアアアアアス!!!!!
赤面ギャァアアアアアアアアス!!!!!
「ば、馬鹿者!! 何を言い出すのだ、こんな場で!!!」
顔を真赤にして虎伯が言うも、よく見ると虎鉄は何故か大喜びである!
「あの! あのっ!! じゃあ鷹継さんはその、同性愛者なんですか!!?」
「は。 その通りにございます。」
「うわー!! 嬉しいー!!! 自分と同じ性癖の人に初めて会ったんですよ、自分!!! うわー! あの、あのっ! たくさんお話訊いても良いですか!!?」
「構いませんよ。」
少し口元を緩ませて鷹継が答えると
「! そうだ!! 今日ってどちらに行かれるんですか? 京都は同じですよね?」
店長のテンションが一気に上がった!!
「は。 気ままな旅にございまして、泊まる旅館はあちらで決めようかと話しておりました次第にございます。」
「そうなんですか!!? じゃあ一緒の旅館に泊まりませんか!? 今から連絡しても大丈夫だと思いますし!」
「折角のご旅行に、邪魔にはなりませんでしょうか?」
ふと、同じ鬼種のにろさんと目が合う。
「私は構いませんよ。 義兄さんさえ良ければ」
「私も構いません。 虎鉄がこんなに楽しそうにしているのですから、断る理由などありません」
そう言って微笑んだ。 が、少し笑顔がぎこちない気がした。 虎鉄が少し不思議に思う。
「では、お言葉に甘えさせて頂いては如何でしょうか?」
「(お前は神か!!?)う、うむ…ではそうさせて頂こうかの」
「は。 では明日までの二日間、どうぞ宜しくお願いいたします。」
そうして、二人とも頭を下げた。
「ところでー」
鷹継が顔をあげた瞬間、疑問を口にした。
「鉄志様も隼人様も、どうかなさったのですか? 何か顔色が変わっておられますが? それに新郷様が何か呆然となさっているようですが、何かご関係が?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そう、店長も疑問に思っていた。 皆の様子がちょっとおかしい。
なんだろう…?
何かが引っかかっている気がした。
「私が同性愛者という事がショックだったのでございましょうか?」
その一言でようやくわかった!!!
俺、今、カミングアウトした!!!!!
「あ、あの…新郷?」
いきなり脳内に入って来た予想だにしてなかった情報を処理出来ず、新郷君は呆然としていた。
「…そうだよな…。 ごめんな、新郷…色々黙ってたのって、俺の方だったよな…」
「…大河原…?」
「嫌だよな、俺の膝の上とか。 ハハ…」
一瞬の沈黙
「…大河原、いつからだ?」
「ん?」
「いつから自覚あった? その…同性愛者だって」
予想外に飛んできた質問に少し戸惑う
「え…? っと〜、高校時代はもう自覚あったかなぁ…。 何で?」
「そっか…」
少し考えて、いや、気持ちを整理して、新郷は少し俯きながら話し始めた。
「そっか…。 なら、何も変わらないだろ。 俺は高校時代からの大河原からしか知らないし、その時はもう同性愛者だったんだろ? じゃあ、俺が友達になりたかったのは、そしてこうして友達になったのは、その大河原だって事だろ? 大河原が急に変わったんじゃない。 俺の認識が変わっただけだ。 なら何も変わらない。 そうだろ? 嫌だよなとか、そんな事言うな。」
「新郷…」
「友達のままだ。 当たり前だろう?」
新郷の体に回していた腕に、自然と力が篭った。
「ありがとう…新郷」
新郷自身も、何だか恥ずかしいことを口にしたなぁと顔を赤くして視線をあげると、
全員が新郷を熱い眼差しで見つめていた!!!
「うわっ!!? ど、どうしたんですか!!?」
「…感動した!! 感動したよ、新郷君!!!」
殺し屋組織の総裁が、目に涙を浮かべて感動している!!
「君が虎鉄の友達で、本当に嬉しいよ!!!」
世界的大俳優が、目に涙を溜めて手を握っている!!!
「素晴らしいぞ新郷君!!! 紛れも無い、君は今日から『ファミリー』だ!!」
叔父さんが、何かマフィアみたいな言い方をしだした!!!!!
あながち間違っていないと言う真実(笑)
「よし! これを記念に、我々に総称を付けるとしよう!!」
ギクッ、と店長が身をこわばらせる。 こういう時のにろさんの手に負えなさっぷりは、彼が一番良く知っている。
が! 時既に遅し!!!
「名付けて!! トラトラファミリー!!!」

ダ…ダセェ!!!!!
「おぉ!! 素晴らしいネーミングにございます!! 私、感銘を受けました!!!」
「そうでしょう!! いやぁ、喜んで頂けるものと思っていました!!!」
鬼種って…
こうして、トラトラファミリーの旅行は始まりました。
一路、京都へ!
「虎鉄と家族と堕神様」
つづく
という訳で、次はもう一人の家族も登場しまーす!
ちなみにこのお話、隠れたサブタイトルが「サブキャラ大集合!!」ですw
双子のお話を考えたときに、他のサブキャラの話も一度作ろうと思ってましたので。
しかし、キャラ多いと誰かが空気化しそうで大変です…。
ではではー!! 次は2月末かな(汗)
投稿日:2010-01-09 Sat
な…何とか間に合った〜(笑)ではでは、神様のお誕生日ストーリー。 どぞ〜!!

そんなお話です(笑)
短編 「ドラゴニック・バースディ」
遮光カーテンからは、既に陽の光が差し込んでいる。
目は覚めている。 しかし、源司は起きる事無く

一人、布団の中で悶々としていた。
そう、今日は待ちに待った、生まれて初めての「誕生日」。
自分にとっては製造年月日という意味しか持たなかった日。 大好きな彼がそれに特別な意味をくれた日。
ついつい我慢が出来ず調べてしまった本日の店長のシフトは「お休み」。
本来なら喜んで良さそうなものだが、この事に源司は頭を悩ませていた。
今ではすっかり仲良くなったものの、基本的にこの二人のつながりは「トラトラ屋」なのだ。
お店に行って顔を合わせ、何か予定やイベントがあればその場で約束する。 これが基本スタイルだ。
今日も店長が出勤ならば店で話をし、夜にでも一緒の時間を過ごしたりする約束が出来たかもしれない。
が、本日店長はお休みなのだ。
…家に行ってみてはどうだろう?
「駄目だ…! それではまるでプレゼントの催促に行ったみたいではないか! 今日は私のお誕生日ですから、プレゼント頂きに参りました★みたいな…! どれだけ厚かましいのだ!」
…お店に行ってみて、二口さん…二口副店長にそれとなく…
「馬鹿か!? こんなことで叔父上殿の手を煩わせるような事、どちらにもご迷惑であろう…!」
…街中を歩いていれば、偶然出会ったり?
「どれだけ自分の未知なる可能性に賭けているのだ!!!」
枕にボフボフと頭をぶつける。
ハッ!! そうだ!
家に行く! 虎鉄さんが出てくる!
「虎鉄さん。 今日一日、私と一緒に過ごして頂けませんか?」
これはどうだろう!!? ウム! なかなかに男らしい台詞ではないだろうか?
プレゼントを催促しているようにも聞こえぬし、事実一緒に過ごしたい!!
意を決し、布団から起きようとした時。
「ピンポーン」
玄関のチャイムが鳴った。
はて、弟達だろうか?
源司の家は、星見町のちょっと変わった場所にある。
ヨーロッパ形式の3〜4階建てのマンション、煉瓦作りだったり窓の形が可愛かったり、屋根の形が全て違って小さな煙突が立ち並んだりする、そんな建物が集まるおおよそ源司には似つかわしくない住宅街の一角にひっそりと隠されている。
マンションとマンションの間の小さな道に不可視の鳥居が隠されており、その向こうに空間をねじ曲げて存在する。
つまり、神々以外はここには辿り着けない仕組みになっているのだ。
しかし、源司は自分が他の神々達にあまり良く思われていないことも承知している。
自分の所に神官を送ったり、ましてや自ら足を運ぶ者など居るまい。 結果、弟達しか頭に思い浮かばないのだ。
そう、完全に油断していた。
「あ、源司さん! おはようございます!」

まさか弟達が、店長に「鳥居を自由に出入りできる」リストバンドなんていうとんでもアイテムを渡しているなんて夢にも思っていなかったのだ!
源司、弟達以外に生まれて初めて
パジャマ派である事がバレる(笑)
店長にとっても、この家はかなり意外であった。
てっきり神社などの神聖な場所に住んでいるものと思っていたのに、まさかこんな不思議住宅街に家があろうとは。
源司の家自体も双子の旅館のような和風ではなく、和洋折衷の普通の日本住宅である事も意外だった。
居間こそ畳で座布団で「いかにも」という感じだが、風呂もトイレもキッチンも普通に洋式である。
しかもパジャマ(笑)
居間の座布団に座っていると、源司さんが顔を真赤にしながら、いつもの和服姿でお茶を持ってきてくれた。
「あ、すいません! お気遣い頂いて…」
「い…いえ…」
言葉もろくに出せない。 視線も下に向きがちで、恥ずかしさから先程より尻尾は左右にブンブン振りっぱなしである。
リストバンドの話を店長がすると、目を丸くした。 双子が怒られるんじゃないかと少し不安を感じたが、
「いやぁ! そんな凄いモノを作ってしまうとは!! 素晴らしい才能でしょう!!?」
弟自慢に花が咲いた(笑)
このお兄ちゃんは本当にどこまでも弟達には甘いらしい。
弟達がこれを店長にあげた真の目的は、兄を応援する為のものだったのだ。 兄が好意を寄せるこてっちが、いつでも兄の家を訪れることが出来るように。
兄は決してそれが可能な何かを店長にあげようとはしないだろう。 だからこそ自分達がやったのだ。
そんな弟達の想いを、兄は僅かながらも感じ取っていたのだ。 叱ろう筈が無い。
源司がいつもの調子に戻ってきたことに安心すると、店長は持ってきた大きな紙袋をテーブルの上にあげた。
「?」マークの源司だったが、ハッと自分が今日誕生日であることをようやく思い出した!
念願のプレゼント!! マ…マフラー…!!?
店長の手によりゆっくりと紙袋から取り出されたのは、四角い大きな箱である。
再び「?」マークになる源司をよそに、店長は嬉しそうに箱を開けた。
「ジャッジャーン!! お誕生日おめでとうございま〜す、源司さん!!」
中に入っていたのは大きなケーキであった。
しかし、普通の丸ケーキとは少し違った。 ドーム型になっており、その上から生クリームの山が幾つも乗せられていた。 そしてドームのてっぺんに「源司さん おたんじょうびおめでとうです!!」と書かれたホワイトチョコプレートがちょこんと乗せられている。
イチゴなどが全く乗せられておらず、見た目は真っ白だ。
何となく、雪化粧の山を連想した。 生クリームは木に見える。
「これ…ひょっとして天狗山でしょうか…?」
「!! やった!!! 見えます!!? 良かった〜!! 何だか見た目汚くなっちゃったかなーって不安だったんですよー!! でも味は保証しますよ! 自分なりに美味しく出来たつもりですから!」
満面の笑みで店長が言う。
「て…手作りなのですか!!?」
頭を掻き掻き店長が頷く。
自分の為に店長が作ってくれた手作りケーキ。 嬉しくて嬉しくて思わず笑みがこぼれてしまう。
しかし、ほんの少し、残念だと思うところも正直あった。 何故かすっかり弟達と同じようにマフラーを貰えるものと思い込んでいたからである。 しかし、そんな事は勝手な思い込みである。 気取られまいと大いに喜んだ。
「ところで、源司さんってお幾つになられたんですか?」
「ん? 年齢ですかな?」
「えぇ。 ろうそく立てたいんですけど」
少し考える
「えぇとですな。 実際に生きている年齢ですと、ケーキの表面全てがろうそくで埋まりますな。」
「マジですか!!? えーっと…じゃあ普通の獣人年齢に換算とか、出来ます?」
よくファンタジー小説などにある設定方式を提案してみる。
「う〜ん、寿命換算でしょうか? 寿命年数に対する成長速度なども全然違いますからなぁ。 ある一定段階まで成長すると、以降は殆ど年齢という概念がなくなるのです。」
「えぇ〜…? じゃ、じゃあ今の源司さんって雰囲気幾つくらいですか?」
雰囲気、という言い回しが少し面白かった。 源司はプッと笑い、笑顔のまま考えた。
「そうですな、雰囲気で言えば50代半ばから60代といった所でしょうか?」
「…お、思いのほか年上だったんですね…。 失礼とかしてなかったですか、自分?」
「ハハハ、まさか!」
店長も少し考える。
「その間の幾つかの年齢ということでしょうか? 特に決めてないんですか?」
「そうですな。 特には。」
「…じゃあ、58歳というのはどうでしょう?」
「? 58歳…?」
「えぇ。 自分が今年36歳の寅年ですよね。 つまり今年60歳の方も寅年ですから、58歳だと辰年だと思うんですけど」
ニッコリ笑って店長が言う。 そう、干支合わせだ。
店長の意向に気付き、源司も思わず笑ってしまう。
「なるほど! 58歳ですか、ではそう致しましょうか!」
ケーキ山に赤いろうそくが立つ。 大きな5本と小さな8本。
源司は嬉しそうに、楽しそうに、その様子を眺めていた。
生まれて初めての誕生日。 生まれて初めての「58歳」。
大好きな人か自分にくれた「58歳」
カーテンを閉めてフーっとろうそくを吹き消すと、店長が盛大に拍手をした。
包丁を借りてケーキを切る。 大きなドームをどう切ろうか考えたが、半分こにしましょうという源司さんのお言葉に甘えて半分に切った。 大きな皿にそれぞれを乗せ、一緒に食べることにした。
「お口に合うと良いんですけど」
ケーキの断面が実に面白かった。 幾つかの層になっていて、それが地層を連想させた。 底のビスケット生地から、スポンジ、フルーツがたっぷり入ったクリーム層、カスタードババロアが重なって山を成していた。
かなり凝っている。
山の頂上をフォークで切り取り、パクッと一口。
「…美味しい…!」

「…良かった」
店長の笑顔が、少し…辛かった
この人は、自分の為に、こんなにも美味しいものを作ってくれて、自分の誕生日をこんなにも喜んでくれて
だが自分は、ハッキリと一度、落胆した
マフラーを貰えなかった、プレゼントが手作りケーキであることに…ガッカリした
恥ずかしくて仕方が無かった
情けなくて堪らなかった
「虎鉄さん…私は…」
全てを正直に話してしまおう…そして謝ろう
傷つけてしまうかもしれない…嫌われてしまうかもしれない…それでも
そう思い、口を開きかけたとき
「あの、ところで源司さん。 やっぱり敬語じゃないと駄目ですか?」
想像もしない一言がいきなり飛んできた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
「だって自分、ずっと年下じゃないですか。 さん付けもいいですよ。 呼び捨てとかで」
一気に源司さんの顔が赤くなる!
「ままま、まさか!!! よ、呼び捨てなど!!」
「うーん、じゃあ二人っきりの時だけでも敬語じゃなくしたり、例えば自分のことは『君』とか…?」
ますます顔が赤くなる。 もはや茹でダコの如く真っ赤である。
「お、弟達の前でもあまりくだけた話し方はしないのですが…」
もじもじしながら言ってみるが、店長は何も言わぬまま、期待の視線をこちらに向けている。
「…こ、虎鉄君…?」
「はい!」
先程から変わらぬ、満面の笑顔。
「はは、何だか少し照れてしまうね…。 僕もこういうのにはあまり慣れてないから…」
照れ笑いをしながら源司が言うと、店長が少し驚いた表情を見せた。
「ん? 何か変だったかな…? やはり似合わないかな…?」
「い、いえ!! あの、何と言うか、意外な一人称だったので…」
「一人称…? あぁ、『僕』ってやはりおかしいですかな?」
「おかしくないです!! むしろ萌えます!!!」
いきなりの店長大興奮時代到来に、きょとんとする源司さん。
「あの、じゃあ早速お誕生日プレゼントを…!」
笑顔で焦りながら、店長が肩掛けリュックの中をごそごそしだした。
「え? ケーキがプレゼントでは…」
「はいこれ! お誕生日おめでとうです〜!」
絶賛大興奮中の店長は源司さんの言葉も聞こえず何かを取り出すと、テーブルの向かいの席からスススと側に寄り、手にしたものを首に巻きつけてくれた。
そう。 言わずもがな、それは源司が欲しがっていた

手編みのマフラーであった。
「これは…弟達と同じ…?」
「えぇ。 元々は源司さんのお誕生日が1月だったので、源司さんへのプレゼントはマフラーに決めてたんです。 で、波威流と弩来波もお兄さんとお揃いが良いかなぁと。 順番逆になっちゃいましたけど」
そう言って、店長は頭を掻いた。
源司の首に巻かれたマフラーは、僅かにオレンジがかった黄色である。
「この色…」
「すいません、本当は源司さんの瞳の色に合わせて鮮やかな黄色にしたかったんですけど、一番近くてその色しかなくって」
「瞳…」
「自分、源司さんの瞳の色、好きなんですよねぇ。 ほら、一度思いっきり覗き込んだ事があったでしょう? 自分のハゲが何故か治ったとき。 あの時の喜びもあったのかなぁ、自分の姿を映してくれた源司さんの瞳の色が大好きになってしまって…」
そこまで言って、自分が物凄い恥ずかしいことを口走っていることに気がつき、店長は口をつぐんで真っ赤になった。
「…ありがとう、虎鉄君。 実を言うとね、僕自身も気に入っているんだよ、この瞳の色」
そう言うと、源司は優しく微笑んだ。
「こんな嬉しいプレゼントはないよ。 本当に嬉しい。 ありがとう」
心の底から、出た言葉だった。
虎鉄君、僕はね
いつからかこの瞳の色が大好きになったんだ。
だって、この瞳の色は
君の瞳と 同じ色なのだから
でもね、僕は最初にこのマフラーを見たとき、違うイメージを連想したよ
オレンジがかった黄色い色。 それは僕が大好きな色。
僕にいつも素敵なものをくれる
僕が大好きな 「君の色」
ずっと ずっと 大切にするよ
君が今日僕にくれた 沢山のものと一緒に
思ってた以上に源司さんが喜んでくれて、ホクホク顔で帰宅した店長。
一日を源司さん宅で一緒に過ごし、沢山話をした。 主に本の話になってしまうのが、互いに本好きの性だろうか(笑)
それでも、素敵な一日だった。
一人称「僕」の源司さん、ぶっちゃけやばかったです。 か、可愛い…。
かなりの年上に「可愛い」は失礼かと思い直しながら、帰りに源司さんがくれたお祝い返しの小さなケースを手にとる。
大したものではないと言っていたが、やはりちょっとドキドキする。
フタを開けると、中には何か白いものが詰められていた。
手を突っ込み、引っ張り出してみると…

キャァアアアアアアアアアアア!!!!!
生まれて初めて「ギャアス」以外の悲鳴が出た瞬間であった!
何だかんだで、やはり最後は和風で締める。
流石の土地神・源司さんなのでした(笑)
おしまい
という訳で、源司さんのお誕生日イベントでした〜。
相変わらず、さんが付いたり付かなかったり…色々と直してるんですがねぇ(汗)
ちなみにアレ、使用済みじゃないですよ(笑) 新品を一枚あげました。
店長がアレを装備する日は果たして来ますかねぇ…w
ではでは、次はちょっと先になりますが「家族旅行編・1」でお会いしましょうー!!
追記:最近気付いたことなのですが、もしかしたら気を悪くされていらっしゃる方もいるかと思い書いておきます。
拍手にコメントを付けて下さる場合、「非公開」にしてしまうとこちらからの御礼のメッセージが書き込めない仕様になってるんですよ〜。 拍手コメント管理画面で、非公開の欄にはこのお礼記入欄が出ないんです。
拍手コメントは一つ一つに随時お礼が書き込めるので、早めにレスが来るというメリットが有ります。 普通のコメントもこういう仕様にしてくれれば良いのに…。
という訳で、レス遅いんじゃー!!という方はこちらを利用してみるのも良いかと思います(笑) が、非公開にしちゃうとレスが書けない事を覚えておいて下さいね。
では! これにてドロン
投稿日:2010-01-01 Fri
何とか間に合いました、年越しイベント!!では、どぞ〜w
「お蕎麦出来ましたよ〜!」

ドンドンドン!! パフパフ〜! ぴ〜ひょろろ〜パァアン!!!
え、何この盛り上がり…!?
短編 『大晦日年越しバトル!ー君のハートにフリーキックー』
「美味い!! いやぁ、店長さんの作ってくれたお蕎麦、実に美味いです!!!」
真っ先に声を上げたのは、いつもの通り道場を宴会場所として提供してくれた師範。 大好きな店長の手料理、そして一緒に年を越せることの喜びにすっかりテンションアップ!!(笑)
師範の褒め言葉に顔を真っ赤にする店長。 やはり料理を褒めてもらえるのは嬉しいのだ。
「あ、でもこのお蕎麦、ただ生そばを茹でて汁を作っただけですけど…」
「いえいえ! 茹で加減も素晴らしいですし、この汁が絶品なのですよ!! この甘味! ダシをしっかり取ってらっしゃるのですなぁ!!」
店長はもう恥ずかしくて頭を掻き掻きしている。 結構いい雰囲気の二人。 と…
「お蕎麦も美味しいですけど、俺はこのかき揚げも面白くて好きっすよ。 普通のかき揚げと具が少し違いますよね。 すげぇウマイっす! こんなのどこで売ってるんすか?」
茶道寺が負けじと声を上げた。
「や、やだなー愁哉君。 コレ、自分が作ったんだよ」
「え!? これ手作りなんスか!!?」
(実は茶道寺君、その事を既に知ってました)
「細切りのジャガイモと玉ネギと魚肉ソーセージで作ってみたんだけど…本当に美味しい?」
「はい!! めちゃめちゃウマイっす!!」
店長、さらに大喜び!! 今やしっぽブンブン状態!
「なぁ、キバトラ。 お前、こんな具材でここまで作れんだから普通に作った方が遥かに旨っ」

「え、馬…? って! どうしたんですか、ナギさん!!?」
「大方、正座でもしていて足でもシビれたのではないですかな?」
フンッと鼻を鳴らして師範が蕎麦をすすりながら言う。 とー
「虎鉄さん!! オカワリです!!!」
今まで無言だった源司さんがいきなり声を上げた! どうやら一人黙々と蕎麦を食べていたらしい。 しかもその一言は店長をさらに喜ばせた!!
「は、はい!! 実は沢山茹でてあるんですよ! 今持ってきますから!!!」
大喜びで台所にかけていく。 その尻尾フリフリの後ろ姿が何とも可愛く、源司さんもついつい尻尾を振ってしまう。 これはいかんと師範と茶道寺も蕎麦を素早く食べ始める!
「な…」

「何しやがんだ、このボケライオン!!!」
今までプルプルしていたナギが、ここで突然の怒号を上げた!!
「は?」
「どうせテメェだろ!! 俺の足蹴ったの!!!」
「全く、何を訳の解らんことを。 よしんば蹴ったとしても、それに文句を言える立場ではなかろう」

『よしんば』なんて実際に使うヤツいたのか!!
「そうっすよね。」
茶道寺も相づちを打つ。
「誰がナギさんの足を蹴ったかはとりあえず置いといて、折角虎鉄さんが美味しい料理作ってくれたのに、何水さすような事言おうとしてるんすか。 大人としての良識を疑うっすよ」

うわぁ、何このムカツク態度!!!
「そうだぞナギ君」
さらに源司さんが追い打ちをかける!
「折角の好意を無駄にしたり誰が君の足を蹴ったかを詮索する事など、虚しいだけではないか」

真面目に説教中ペロペロすんなよ!!!
「お待たせしましたー!」
と、そこへおかわりをもって店長が戻ってきた。
流石に彼の前で喧嘩する訳にも行かず、ナギが黙って足をさする。
「ナギさん、まだ足痛いんですか…?」
源司さんにオカワリを渡しながら、店長が少し心配そうな顔をした。
「べ、別に大したことねぇよ…」
「良ければさすってあげましょうか?」
「…は?」
「自分、結構マッサージとか上手い方なんですよ〜」
「お、おい…」
「どうです? 最初は痺れてて痛いかもですけど、血行が良くなれば痺れ取れて来ますから」

「気持ち良くなってきました?」
「お…おぅ……」
「良かったー!!」
「キバトラ…」
「はい?」
「あんがとよ…」
へへー、と笑う店長。 二人の間に確かな絆が芽生えた!!(笑)
実はナギ以外、全員正座組。 しかも結構な長時間も正座平気組。 為す術無しか!!?
いや!!
「あ! 俺、ちょっと足痺れて来たかもっす!!」

「ほほぉ! では私がマッサージの極意を見せてやろう!!」
もみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみ
「あぁあああ!!! 俺の折角の痺れが瞬く間に…!」
タン 幸志朗・抜け駆けだけは許さない!!!
「へぇ〜、幸志朗さん、マッサージお上手なんですか?」
ここで店長、意外なところに食いついてきた!
「え!? えぇ、まぁ…。 良ければ肩でも揉んで差し上げましょうか?」
意表を突かれた所為か、特に何も意識せずに言う事が出来た。 だがそれが逆に功を奏した!
「んっ!」
「あ! ちょっと強すぎましたか!!?」
「い…いえ…! き…効きます…! 凄い…気持ち…いぃ…んっ!!」
「け、結構凝ってらっしゃいますね…首あたりもどうですか…?」
「あ!! そこ…凄いです…! 幸志朗…さん、上手…い…!!」
「そ…そうですか…? ありがとうございます…(うわぁあああ)」

茫然自失の茶道寺君。 野望潰える!!(笑)
だがここで源司さん、ピコーン!! 何か閃いた!!
いきなりオカワリの蕎麦をものすごい勢いでかき込む!! 一瞬で蕎麦のおわんを空にすると
「虎鉄さん、もう一杯オカワリ頂けますかな?」
そう切り出した。 店長も慌てて立ち上がろうとすると、スサササと店長の後ろに回り込む源司さん!
そして!! おもむろに!!!
「それでは、お蕎麦のオカワリいっただっきま〜す!」」

はむはむ〜★
ナニィイイイイイイイイイイイイイ!!!!?
全員、完全に不意を突かれ、その所業に度肝を抜かれた!!!
「んっ! あ、ちょっ…源司さん! それはお蕎麦じゃないですよー!! もう〜、しょうがないなぁ」
そういうとお互いに視線をかわしてハハハと笑った。
これこそ、天然キャラを売りにしている神様だからこそ許される戦法!! 他の者が同じ事をやったら間違いなくドン引きの荒業炸裂の瞬間であった!!!
完全に取り残される茶道寺君! 濃いキャラばかりに囲まれる現在! 弟キャラの彼にはもう出る幕すら無いと言うのか!!!?
否!!! そこに起死回生のヒントが隠されていることに彼は気付いた!!!
「虎鉄さん、俺…ちょっと眠くなってきたかもっす…」
「え!? 本当…? 大丈夫? お布団敷こうか…?」
「いえ、少しだけ…いいですか?」
「愁哉君…?」
「あぁ…気持ちイイっす…(ドキドキ)」

弟キャラによる甘えん坊作戦が見事に決まった!!!
ゴォオオオオオオオオオオオル!!!!!
茶道寺!!! ブッ殺ス!!!!!
修羅の如き怒りも店長がいる前では発揮も出来ず(笑)
そうして、楽しかった一年の最後の夜が更けて行った。
除夜の鐘を聞き、皆で明けましておめでとうを言う。 そんな、どこにでもありそうな、大晦日の一日。
皆笑顔で、みんな仲良しで、幸せな毎日が過ぎてゆく
特別なイベントなんかなくても、その毎日が店長にとってはすごく大切で
そんな何でもない特別な毎日が、いつまでも続けば良いと
いつの間にか眠ってしまった店長は、夢の中でそう思いました
実際にはちょっとだけ現実とは違う部分があるのですが、その事に店長は

もしかしたら永遠に気付かないのかもしれませんね(笑)
おしまい
一年間、ご愛読ありがとうございました!!
何か「俺たちの楽しい毎日はまだまだ続くぜ!END」っぽいですが、実際まだまだ続くですよ〜(笑)
と、言う訳で!!
ピッ ピッ ピッ ポーン!!
明けましておめでとうございまーす!!(笑)
この記事、31日と1日どちらに載せようか迷ったのですが、結局31日深夜ということに落ち着きました。 この時間ってどちらの日付にも感じられますでしょう?w まぁカレンダーでは普通に1日なんですけどね。
さてさて、昨年は丑年と言うことで大ちゃんが踊る年賀状でしたが
今年は寅年!! と言う事で!

虎フィーバー!!!(笑)
今年は店長の干支と言うこともありますので、ますます頑張っていけたらと思っております!
いつも更新遅いしレスも遅いですが、お付き合い頂けると嬉しいです〜!
ちなみに、次の更新は1月9日を予定しておりますが(間に合うかなぁ…)、それが終わりましたら同人誌制作を本格的に進めようかと思っております。 それと同時進行で家族旅行のお話を何回かに分けて掲載予定です。
メインキャラのお話、いつ始められることやら…ギャァアアアアアアアアス!!!!!
はい、初ギャァアアアアアアアアスです。
何でも「初」って新年に言うようになったらオヤジなんですってw
望むところです(笑)
投稿日:2009-12-16 Wed
本来ならクリスマスに載せようかと思っていました今回のお話。よくよく考えましたら、クリスマスに年末年始に1月9日とイベント立て続けになることに気づきました。←今更!!?
という訳で首が回らなくなりそうなので、申し訳ありませんけど一週早いですがクリスマスイベントをお送りいたしたく思います〜。 一月更新が無くて広告が載ったのも悔しいですしね!!
本当に申し訳ありません!! では、どぞ〜!!
「メリークリスマース!!!」

スーパーセクシー!!!!!
短編−X'mas × Xmas(クリスマス×クリスマス)−
ここは最高神様達がいる「無限の箱庭」。
閉ざされた空間内にあるビルの屋上である。
今日も今日とて最高神達とは思えない、おもいっきり日常を満喫しております。
「…あれ? 鷹人君、胸の紋章は?」
描き忘れではなく(笑)、普通に胸の紋章が消えている。
「あぁ、あんなダッセェもん、心核機能を制御して消しちまったよ」
「そ、そう…消せるんだ…」
…相変わらず器用なことするなぁ
「んなことよりホレ! 鷹人サンタのお出ましにもっと喜んだらどうよ!?」
バハハハ!! と笑う鷹人君。
「あのさ、そのイベント、もう無くなってるんだけど」
「は?」
笑顔のままで鷹人が聞き返すと
「もう遥か数百年前、現行の神様制度が出来たときに無くなったの。 クリスマス。 ほら、元々キリスト教での生誕祭だったんだっけ? 普通に神様がいる以上、全く意味が分からないイベントになっちゃったから。」
睦月の話が終わると、鷹人の顔から一瞬にして笑顔が消えた。
角に被せたサンタ帽を放り投げ、上着をバサっと脱ぐと、無くなった左腕の付け根の辺りに血がドプドプと集まり始める!!
「貴様ら…」
鷹人君の素敵な大胸筋に、消えていたはずの紋章が浮かび上がる!!!
「素晴らしき日本の文化を消し去るとは、一体
どういう了見だ!!!?」

「ドリルはやめてよドリルは!!!」
額に恐怖の汗を流す最高神様・睦月君(笑)
「そんなので開発されちゃったら、総受けアンソロなんてレベルじゃないよ…!!!」
「アンソロォ…? レベルゥ…??」
「え!? そこ怒るとこ!!? 自分だってさっき『メリークリスマス』って言ってたじゃん!! ていうか、そもそも間違ってるしね!? クリスマス、日本の文化じゃないじゃん!!!」
フンッと鼻で笑う鷹人君。
「睦月、お前は相変わらずのあんぽんたんだなぁ…」
「あんぽんたん!!!?」
久々に聞いたよそんな単語!!!
「いいか? 日本で『クリスマス』って表記する場合、よく『X』の横に『チョン(’)』って付けるだろ?」
「…あぁ、付けるねぇ」
「あれはな、英語表記ではありえん綴りなんだよ。 英語表記なら普通に『’』なんて付けずにそのままX・M・A・Sと書く。」
「(相変わらず無駄に詳しいなぁ…)」
「つまりだ…」
「?」
「『’』を付けた『X'mas』は日本独自の文化という事
なのだ!!!!」
えぇえええええええ!!!?
「『メリークリスマス』も頭の中で『’』を付ければ立派な和製英語、日本語なのだ!!!!」
えぇええええええええええ!!!!!?
「つう訳だから、さっさと復活させろよな、クリスマス!」
「いやいや! じゃあどう説明するんだよ、『クリスマスってどういう意味?』とか訊かれたら!!?」
「じゃあ『ガンダム』ってどういう意味
だよ!!!!?」
えぇええええええええええええええええええ!!!!!?
「だろ!? ようは『そういう名前です』って広めりゃいいんだよ!」
滅茶苦茶な理論ではあるが言いたい事を全て言うと、鷹人はまた人懐っこい笑顔を見せた。
怒りも収まったらしく、胸の紋章も再びその姿を潜める。
腕の物騒なドリルアームを上腕部からパージすると、外れた瞬間アームは全て血液に戻り、シュッと消えた。
「ほんじゃ、プレゼントやっるぜ〜♪」
フンフンと鼻歌を歌いながら、持っていた大きな袋に手を突っ込む。
プレゼントは英語じゃないの?という質問は、再び何やら怒りを買いそうなので飲み込むこととした。
と、大きな箱を取り出し、睦月に渡した。
「ほれ、メリークリスマース!」
ちょっと呆気に取られながらも箱を受け取る。 ズシッと結構な重さがあった。
目で訴えると、鷹人はにっこり笑って頷いた。
包み紙を丁寧に剥がし、中の箱を開けると…
「これ…天体望遠鏡…?」
「おうよ!! どうだ!? 嬉しいか!!? 血で創ったんじゃねぇぞ? ちゃーんとこの前行った星見町って所で買ってきたんだからな!」
言葉が出なかった
遥かな、無限とも思える時間をクロムと二人きりで過ごしてきた睦月にとって、こういう喜びは本当に、
本当に久方ぶりのものだったのだ。
鷹人が、たった一人の親友が、自分が空を観るのが好きだということを今でも覚えていてくれた事が、本当に嬉しかったのだ。
「あ、ありがと…」
顔を真っ赤にしてそう言うのが精一杯だった。
消え入りそうな小さな声だったが、それでも鷹人は大満足であった。
そして、幸せそうな睦月を見て、クロムも喜んでいると
「ホレ。 こいつぁオッサンにだ」

ポスッ、と小さな箱を胸に押し付けた。
「わ、私に…?」
驚きながらも、同じく箱を開けてみる。
小さな箱から出てきたのは、これまた小さな木箱であった。
「?」と思いながら蓋を開けてみると、可愛い音楽が流れ出した。
オルゴールだ。
クロムは厳つい外見とは裏腹に、こういう可愛らしいものに目がない。 大喜びで礼を言い、その場に座り込むとオルゴールに聞き入った。 随分と気に入ってくれたらしい。
「鷹人!! 鷹人!!!」
その光景を見ていた人物が、大喜びで声をかけてきた。
残る最高神ズの一人、樹である。
自分の顔に人差し指を指し、私の!私の!!をリアクションで訴えている。
鷹人もちゃんと心得ているというリアクションを親指立てで返すと、袋の中から小さな包みを取り出した。
掌に入ってしまう程の小さなものだ。 樹は欲張りおじいさん並に邪推する。
小さな入れ物ほど、高価なプレゼントに違いない!!!!!
ワクワクしながら包を開けると、中から黒い、ゴム製の輪っかが出てきた。
「…?」
疑問の視線を鷹人に向けると
「コックリングだ」
と、あっさりと答えが帰ってきた。
えぇ〜? 今更…?? と、ぼやく樹に鷹人は不満そうだ。
「んだよ、あんま嬉しくねぇのか? チッ、折角あんな恥ずかしい目にあってまで買ってきてやったってぇのに」
ピクッと樹の羽が反応した。
「恥ずかしい目にあう…?」
「おうよ、樹相手ならエロ玩具が良いだろうと思ってな、お手軽な一品を買おうとしたんだがよ、サイズがどうとか言われてな。 樹のデカさなんて知らねぇじゃねぇか。 まぁ俺と大して変わらんだろうと言ったら、試着してみろと吐(ぬ)かしやがる」
!!!!!
「し!! 試着したのか!!?」
「他の客がいる前でいきなり脱がされたんだぜ? キンタマぎゅうぎゅう押し込まれて痛てぇの何のって。」
「そ、それからどうしたのだ!!? ちゃんと装着出来たのか!!!?(ハァハァ)」
「装着出来たよ。 でも勃起してもちゃんと具合が良いか見てぇとか言い出してよ」
!!!!!!!!!!!
「しし…したのか!!!?(ハァハァ)」
「無理やりさせられたんだよ。 チンポいじられてな。 しかもお次は射精の具合も試した方が良いと」
「ししし、したと言うのか!!!?(ハァハァハァ)」
「店員二人がかりで俺の体をいじくりやがってな。 他の客も皆集まっちまって、見られまくったってのによぉ…」

えぇえええええええ!!!!!!?
※樹さんの妄想レベルは「熟練の手練クラス」です
「んだよ、結局やられ損かよ。 まぁ、いらねぇもんは愚痴ったってしゃあねぇか…」
そうボヤいて鷹人がリングを取ろうとすると、樹はそれをポッケに仕舞った。
「お? いるのか?」
そう訊くと
「ウム。 それだけの思いをして買ってきてくれたものを無碍(むげ)にする訳にも行くまい。 ところでちょっと済まないが私は用事を思い出したのだ。 自室にいるが入って来てこないでくれ給えよ?」
そう言うやいなや屋上からビルの中へと姿を消した。
「(樹さん、間違いなく今の話をオカズにする気だな)…で鷹人君、今の話って本当なの…?(ハァハァ)」
睦月の方に振り向いた鷹人は呆れ顔である。
「ハァ? んな訳ねぇだろ? 知り合いのド変態が喜びそうな話はねぇかって、店員にネタを提供して貰っただけだよ」
返せ!!! 僕らの純情を返せよ!!!!!
「まぁ樹にはああいうプレゼントが一番だろうと思ってな。 一応普通のも買ってあるから、あいつが落ち着いたら渡してやるさ」
そう言って袋から取り出した最後の包には、分厚い一冊の文芸書が入っていた。
「あいつもこの時代の推理小説はまだあんま読んでねぇだろ? 俺はよくわかんねぇから店員のオススメを一冊買ってきてやったんだよ。 結構古いヤツらしいが、かなり面白いらしいぜ?」
そう言うと、またニッコリと笑った。
探偵事務所を開いていた樹さんが推理小説に目が無い事も覚えてたんだ
本当、いやになっちゃうくらい、完璧なんだもんなぁ…
腕の中にある、大好きな人からもらったプレゼント。
ずっと忘れていた、かつては当たり前のようにそこにあった「幸せ」
それは、とても小さなものかもしれないけど、とてもとても大切なもので
確かに、こういう日があっても良いのかもしれない

そう、素直に思ったのでした
こうして、12月24日は翌年以降「X'mas」として決められ、「親が子供にプレゼントをあげる日、又は
好きな者同士がプレゼントを交換する日」として、のんけもメンバーの間に新たな火種を撒くこととなったのでした。
メリークリスマス!
という訳でした〜。
去年は時間がなくって出来なかったクリスマスイベント、でもよく考えたらこの世界でクリスマスっておかしいよね?と思い当たって作ったのがこのお話でした。(ちなみに若干修正しました)
期待を裏切った感がギュンギュンしますが(汗)
さてさて、トラトラサンタからのプレゼントは12月25日に裏サイトに掲載予定です〜!
ものは今回の「樹さんの妄想・完全版」です(笑)
本当はじいちゃんと石動さんのエロの方が期待されてるんでしょうけど、そちらはまだ少し待って頂きたいです!
家族旅行のお話を書いたら、その後で書こうと思ってますので!! 申し訳ありませんです!!!
ていうか、家族旅行の話もいつ書けることか…同人誌制作と同時進行ですからねぇ…。
ちなみに同人誌はネームは完成済み。 44ページになる予定です〜。
ではでは、皆さんに素敵なクリスマスが訪れますように!
追記:裏サイト更新しましたよー!! トラトラサンタからのプレゼント、相変わらずのエロイラストですがどうぞお受け取りあれー!!(新しい記事起こす時間なかったです…年末更新ヤバーイ!!!)
投稿日:2009-11-16 Mon
はい、間に合いませんでしたー!!11月15日の気持ちで読んでくださると嬉しいです(涙) では、どぞー!!
夕方過ぎの星見町。 本日早番の店長は、夕食用のスキヤキの具財がたっぷり詰まった買い物袋を両手に提げ、フンフン言いながら帰路についていた。
と、薄暗くなってきた街角に、ちょっと珍しい人物を発見。
小柄な体格に作務衣という服装、そしてロン毛と二本の角。 間違いない!
おぉーい、と声をかけながら近付くと、向こうもこちらに気付いて振り返る。

「波威流!!!」
「ぶぶー!! 弩来波でーす!!!」
「短編:双子日和」
「…ちっくしょう…これで今度の食事当番は俺か〜。」
「へっへー! たっのしみ〜!!」
これが3人の間で取り決めた、仁義無きお遊びである。
いつもは店長が旅館に遊びに行った時、鳥居のゲートを開けてくれた双子のどちらかに対してこれを行う。
正解するとその日の夕食がとんでもなく豪華になり、ハズれると夕食当番が店長になる、そんな遊びである。 ただし、夕食当番が店長になっても双子はちゃんと手伝いをするのだ。 そして店長が作った料理に二人が爆笑するのがいつものお決まりのシチュエーションであった。
このゲーム、双子が嘘をつけば永遠に店長が勝つことは無いのだが、双子は悪さはしても決して嘘はつかないことを店長は知っていた。 実際何度か偶然正解した事もあるのだ。
3人の間には、確かな信頼関係が築かれていた。
これは、そんなある日のお話です。
「珍しいね、こんな時間に。 何か用事?」
「うん、これ売ろうと思って」
そういって弩来波が出したのは、何か丸い大きなものを包んだ風呂敷である。
「ひょっとしてお皿?」
「そうそう」
「…もしかして、お金に困ってるの?」
弩来波はブッと吹き出した。
「違うよー! 前は失敗作や気に入らないヤツは土に埋めてたんだけどさ、こてっちと遊んだ後『器屋』を見つけてさ、中見てみたら自分達でも作れそうなやつばっかり並んでたんだよね。 で、験しに失敗作売ってみたら普通に売れてさー。 それ以来、余ったヤツとか売りに来てるの」
「へー。 じゃそれも余ったヤツなんだ?」
「うんう。 これは遊びで作ったやつ」
そう…遊びで作ったお皿、売っちゃうんだ…。 売れちゃうんだ…。
「こてっちも一緒に行ってみる?」
「え! いいの!?」
器屋など全く縁がなかった店長は、大喜びで首を縦に振った。
商店街の中央通から一本外れた道にその器屋はあった。
店先で弩来波は胸元からタオルを出すと、急に頭に巻きだした。 こっちの方が芸術家らしいとか言い出しております。 まぁ…ロン毛と相まって、ぶっちゃけかなり「らしく」見えちゃってますけど…。
ガラガラと引き戸を開けると、「いらっしゃいま…!! 湯殿先生!!!」と店主の声が聞こえてきた。
「湯殿先生…?」
「そ。 俺達のこっちの世界での連名。 『湯殿 双海(ゆどの そうかい)』って言うんだー。」
店長に小さく耳打ちすると先に入って行き、店内から店長においでおいでをする。
「店主。 こちらは私の友人だ。 先刻街中で偶然会ってな、共に足を運ばせて頂いた。 別段問題はなかろうな?」
「えぇ、それはもう。」
弩来波の、普段と全く違う口調と声色に驚いていると、人間の店主は店長の方に視線を運んできた。
まるで品定めするような視線。
笑顔を作ってはいるが、こういう視線には店長は敏感である。
そうこうしているうちに商談は順調に進んでいく。 どうやら本当に売れてしまうらしい…。 マジかよ。
店の奥に行った店主が再び戻ってくると、手には弩来波が持ち込んだ皿がちょうど入りそうな桐の箱を持っていた。 次いで硯(すずり)と水差し、固形の墨を取り出す。
どうやら弩来波が箱に銘を入れるようだ。
硯に水を入れ、墨を引いていく。 その姿が結構格好よくて

ちょっとムカついた(笑)
少し離れた所に立っていた店長だが、やはり少し気になって、器と一緒に買値を表示した電卓を覗き見てみる。
えーと、弩来波さん…? 貴方確か「遊びで作った」とか言ってませんでした?

800万円って見えるんですけど…?
店を出ると、いきなり店長は溜息を漏らした。
「どしたの、こてっち?」
「いや、何て言うか…真面目に働いてるのが馬鹿らしくなってきた…」
俯き加減だった店長だが、息を吸うと背筋をグッと伸ばした。
「でもまぁ、しょうがないか! こればっかりは才能だもんね。 遊びであんな見事な絵皿作れるんだから!」
「…上手かった…? あれ?」
ちょっときょとんとしている弩来波。 やはり本人にとってはどうでもいい出来だったのだろう。
「俺にとってはね。 うん、見事だと思った。 描いてあった絵なんて、本当に綺麗で。 上手いよねー!」
遠目に店長が見た皿の絵は、青の濃淡で見事に描かれた「竹林」であった。 しかもその奥に、さらに濃淡を使って「虎」を描いていたのだ。 この青い色は、皿に塗る時は真っ黒なのだが、焼きあがると綺麗な青になる。 しかも筆の強弱で濃淡が見事に浮き出すのだ。 これを見せてもらった時は本当に言葉が出なかった。
「本当に上手いと思った? あの『腹ペコこてっち』の絵?」
なんていう名前を皿に付けてやがる!!!?
「…うん、まぁ…名前はともかく上手かったと思うよ。」
「遊びで作ったって言ったけど、アレ、『逆バージョン』なんだ」
「…『逆バージョン』?」
「そう。 俺達って実は少し技量の方面が違ってさ、波威流は絵を描くのが上手くって俺は造形が上手いんだ。 だから普段は俺が作って波威流が絵を描くの。 で、今回は逆で作ってみようって。」
「あぁ、それで『逆バージョン』。」
「でもさ、俺なりに結構気合入れて絵描いたんだよ。 だから…さ」
「?」
「こてっちに褒めてもらったの、結構嬉しい…かな」

「や、やめろよそういう表情!!
ちょっとドキドキするだろが!!!」
「何ならここで頂いちゃう?」
「頂かないよ!!!」
「って言うか、何だ『頂く』って!!? お、俺を何だと思ってやがる!!!」
「え? だってこてっちホモでしょ?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
バレてました。
「そうだ! 頂くで思い出した。 夕食どっかで食べて行きたいんだけど、こてっち美味しい店知らない?」
「…旅館で二人で食べるんじゃないの?」
「今客来てて面倒くさくてさー」
ふーと溜息を漏らし、首を横に振りながらやれやれのジェスチャー。
「…なら俺ん家でスキヤキ食ってく?」
「え!! いいの!!!?」
「いいよ、肉安かったからしこたま買ってきたし」
やったー!! と両手を挙げて喜ぶ弩来波に、ホモだとバレてた店長の精神ダメージもおおよそ回復した。
「あれ? そういえばお客さんって、弩来波の方が接客向いてるんじゃなかったっけ?」
「そうだけど?」
あぁ、なるほど…こっちも「逆バージョン」。 つまりはどうでもいい客って事か…。
本当にこいつらは…敵に回したくないなぁ…
「ところでそっちのヤツはスキヤキ一緒に行かなくていいの?」
いきなりの台詞に店長、きょとんとする。 何やら弩来波は、店長の肩越しに少し向こうを見ているように見える。
途端にぞわわわー!!!っと総毛立つ!!!!!
「ちょっ!! やめてよ、怖い事言うの!!! それってあれ!!? 食事の用意が終わったところで子供が『あれ? あの人の分のお皿はいらないの?』とか誰もいないのに言い出しちゃうアレでしょ!!!? 」
「いや、じゃなくって…」
「やだやだやだ!!! 聞こえない聞こえない!!!! ほら! 行くよ、もう!!!」
「うん、まぁいいならいいけど。」
電信柱の向こうの影に目をやりながら、店長に引っ張られていく弩来波。
言うまでも無いことだが

一人の男が人知れず涙していた。
二人でテーブルを挟んで、ほふほふとスキヤキを食べる。
鍋の中で煮込んだ肉と、生のまましゃぶしゃぶのように汁にくぐらせて食べる肉、とにかくどちらもてんこ盛りであった。
「いやぁ、賞味期限近くって安売りしてたからさー!」
肉を頬張りながら店長が幸せそうに言う。
弩来波もかなりの量を食べていた。 小柄ながら結構喰う方なのだ。
「そうだ!」
突然の店長の言葉に、同じく肉を頬張っていた弩来波がきょとんとした。
「賞味期限で思い出したって言うのも失礼だけど、二人の製造年月日っていつ?」
「え、何言ってんのこてっち? それって何かの下ネタ?」
「何でだよ!!?」
「製造年月日って、ようは父ちゃんと母ちゃんがいつセックスしたかって話じゃないの?」
「いやいや、じゃなくって…ん? 父ちゃんと母ちゃん…??」
「うん。 じゃなくて?」
「あれ…? 神様って出生方法が違うって源司さんが…」
「…兄ちゃんそういう話は全然して無いんだ。 俺ら、元は普通の獣人だから。」
「そうなの!!?」
「うん。 5歳くらいの時に父ちゃんと母ちゃんに山に捨てられて、死に掛けた所を兄ちゃんが神様にして助けてくれたんだよね。 で、俺らを兄弟として引き取ってくれたの。」
呆然とする。 一瞬、言葉を失った。
「捨て…られた…?」
「うん。 でも、仕方が無かったんだよ。 家は中流家庭だったと思うんだけど、会社が倒産したのかな? 父ちゃんが仕事なくなって、結構いい年だったから大変だったんじゃないかな? 双子の食べ盛りだもん、養うのがきつくなっちゃったんだね、きっと。」
「だからって…!!」
目に涙を溜め始めた店長に少し驚くも、弩来波は少し困り顔ながら微笑んだ。
「まぁ、子供の頃は色々ショックだったけどさ。 でも今は感謝してる部分もあるんだよ」
店長は無言である。 何も言葉が出てこない。
「だってさ、父ちゃんと母ちゃんがいなかったら俺ら生まれてないもん。 そしたら兄ちゃんにも、こてっちにだって会えなかった」
目に涙を溜めたまま、店長は少し俯いた。
「今、俺達幸せだからさ、だから、俺らを生んでくれた事、そこは感謝しなきゃだよ」
視線を上げると、弩来波は何も無かった様に楽しそうに肉を頬張っていた。
母親の事を思い出す。 生んでくれた事、そこは感謝しなきゃ…事も無げにそう言える、言えてしまう弩来波が、本当に凄いと思った。 自分が少し、恥ずかしかった。
感謝しなきゃ…か
「で、誕生日でいいの?」
店長が少し落ち着くのを見て取って、弩来波が声をかけてくれた。
「あ! うん、そう!! じゃあ誕生日あるんだ!?」
「うん。」
「いつ!?」
「9月9日」
「過ぎてんじゃん! 過ぎてんじゃーん!!!」
ダンダンとテーブルを叩いて悔しがる店長!! 妄想にいい材料を頂いてるのに発動すらしない!!!(笑)
「…一応もう一つ誕生日ならあるけど?」
「マジで!!!?」
「うん、兄ちゃんに神様にしてもらった日。 神様としての誕生日なのかな」
「いつ!!?」
「11月16日」
11月16日!!? い…良い色…!!!? もわもわ…
「って!!! 妄想してる場合じゃない!! 明日じゃん!!!」
鳥居の向こうの景色が揺らぎ、波威流が出迎えてくれていた。
「どしたの? こんな夜中に急に」
話しながら、鳥居の向こうでおいでおいでしている。
「良いの? 入っちゃって…? お客さん…って事は神様が来てるんじゃ…」
「平気平気。 もういないから。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「まさか…追い出したりしてないよね…?」
「まぁそれはそれとしてさ」
否定しねぇよ!!!!!
「何か急ぎの用事?」
とりあえず持ってきたタッパを渡す。 中には肉(おおよそ全体積の7割)と野菜が入っていた。 先程のスキヤキである。
「え! くれるの!!? まだあったかいじゃん! やった!!!」
嬉しそうに笑う波威流に、弩来波が耳打ちした。
「それだけなら美味そうにも見えるだろうな…」
「何が?」
「俺がそれの何倍食わされたことか…。 しかも後半は巻きで行くし、それでも『締めはやっぱりおじやだよね!』とか言って米ドバドバ入れるし」
「美味そうじゃん」
「その後とろけるチーズ入れたんだぜ? リゾット風のほうが美味しいんじゃない?と言い出した時は耳を疑ったよ」
波威流は思いっきり爆笑した!
「笑い事じゃねぇって…もう重い重い…。 こてっちってさ、本当に詰めが甘いというか…」
「あれだよね。 順調に交際を進めていって、最後のセックスで失敗するタイプだよね。」

「そういうお話は本人がいない所でしなさい」
「て言うか、これの為にわざわざ来てくれたの?」
「いやいや、二人とも目を瞑って!」
「(…何?)」
「(さぁ、俺も良くわかんない)」
ヒソヒソ話しながら、二人とも目を瞑った。
店長は持ってきたカバンをごそごそすると、二人に腕を回した。
?マークの二人に、ちょっと待ってと懐中時計を取り出して見る。
チッ チッ チッ
カチッ
「良いよー!! 目ぇ開けて〜!!!」
二人共ゆっくり目を開けると、二人の首には

マフラーが巻かれていた。
波威流が赤、弩来波がオレンジである。
「色…違うんだ」
二人共、その部分が意外だった。 こういうプレゼントなら、普通に考えるとお揃いではないだろうか?
「うーん、自分の中で波威流は若干熱血派、弩来波はちょっとおっとり型ってイメージなんだよね。 だからイメージに合わせて色変えたんだけど…」
「俺らの違い…わかるんだ…」
顔を少し赤くしている波威流に
「見た目は全然わからないくせにね」
と弩来波が茶々を入れた。
「見た目は絶対わかんないよー!! お前ら似すぎだもん!!! あぁ、本当はマフラーに名前とか模様とか入れたかったんだけど、編むのって難しくて…」
「手編みなんだ!!」
「こてっちってそういう女性的な技、得意そうなのにな」
「え、そう? 何で?」
波威流の一言に店長が疑問を抱くと
「だってこてっちホモじゃん」

「お前ら…」
バレバレでした。
双子は楽しそうにしながら、視線を交わした。
「いいよね?」
「うん、こてっちならいいよね」
「何が?」
不思議そうにしている店長にちょっと待っててと言い残し、二人共旅館の裏の工房に消えた。
戻ってくると、波威流が手に何かを持っていた。
それは腕時計のように見えた。 だが、時計があるべき部分に鷹か鷲か、鳥のアクセサリーが付けられている。 どうやらリストバンド的なものらしい。
波威流から受け取ると、左手首に付けてみる。
「これ…時計じゃないんだ?」
「そうだね」
「この鳥の部分が時計になったりしないんだ?」
「…こてっち…本当にそういうのしたこと無いんだね」
こういうファッションのみの、何の機能も無いものを体にしたことがない店長はすっかりテンションが上がってしまった! うわーうわー!を連呼し、腕を空に掲げてみたりしていた。
「格好良いなぁ!! てかこれ、変身とか出来そうじゃない!!?」
ギクッ!!
「…え、変身? も、もっとこうさ…他に何か無いの?」
「いやいや! これはもうどう見ても変身アイテムでしょ!!! こう腕をかざして…」
バッ!
「変身!!! なーんて!」

カッ!!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

ボフーン!!!!!
もふもふ神・爆誕!!!
「…プッ、ふりちん」
ミシッ!
「おぉおーい!! 弩来波っ、空気読めよ!! 只でさえこてっち租チンな事気にしてるんだから!!!」
ミシミシッ!!
「え、でも結構大きくなってるじゃん」
「いやいや、もっとマクロ的な視点で見なければいけないぞ? ほら、全身がもっとでっかくなってるから、相対的に見ればいつもよりさらに租チンになっているではないか。」
「成る程!! 確かに!!! また一つ賢くなったよ!!!」
「おっ…」
ブツン!!!
「お前らぁあああああ!!!!!」

キャー!!
ボガァアアアアアン!!!!!
「…ほらほらこてっちー! 俺らもフリチンフリチン!!」
「うるさいデカチンコ共!! 全裸なんて全然恥ずかしがらないくせにっ!! もうマフラーやんない!!!」
「じゃあさ! 俺らの取って置きの芸を見せるから、そしたらマフラー返してー!」

「芸って、どうせ『勃起前・勃起後』だろ…?(ドキドキ)」

「はぁ…っ、だ…駄目だよ弩来…波! 俺達、同性で…兄弟で…ふ、双子なの…に」
「同性の双子だからこそ、だろ? ほら、ここがこうしたら良いって、わかってるんだぜ?」
「んっ…!!」
「へへ…良い声出すじゃんか、兄貴? ホラ、もうガチガチだろ…?」
「もう…やめてくれ…っ! み、見られてるのわかってるの…か…!!」
「あぁ、だから兄貴も俺も…こんなに先走ってるんだろ?」
その後店長が全面降伏するのに、数分とかからなかったという。
理由は簡単。 店長のビッグバンがエクスプロージョンしかけたからである(笑)
「本当、お前らには適わないよ…」
3人が共に目を合わせ、そして3人一緒に笑った。
結局、「神様の力を自由に使える」リストバンドは、「鳥居を自由に出入りできる」機能に限定する事でようやく店長に受け取ってもらえた。 「ほら、俺らもいちいち出迎えなくても良くなるじゃん」という言葉に、店長も納得したようであった。
双子にしてみれば、大好きなこてっちへの心のこもったプレゼントだったのだが、
「いらないよ、そんな危ない機能!! て言うか、俺神様じゃないし、何かズルいじゃん!」
と、一蹴されてしまった訳だ。
店長が鳥居に触れると、向こう側の景色が揺らいだ。
そのまま鳥居をくぐり、振り返って二人に手を振る。
二人も笑顔で返すと、店長の姿はそのまま向こう側へと消えた。
「本当、変わってるよね。 こてっちって。 神様の力『いらない』だって」
「ズルいとか、そういう発想ってどこから出てくるんだろ?」
二人は顔を見合わせて、楽しそうに笑った。
ああいうこてっちだからこそ、二人は彼を好きになったのだろう。
夜空を見上げると、澄んだ空気の向こうに満天の星空が瞬いていた。
こんなにも空気が澄んでいるのは、気温が随分と低くなってきた証拠である。
もうすぐ冬がやってくる。
かつて二人の命を奪おうとした、天狗山の冬。
だが今は、あまり寒さというものを感じなくなっていた。
それは二人が神様になったからだろうか
いや、違う。 そう、きっと 違う
「なぁ、波威流」
「ん?」

「暖かいね」
「うん。 暖かい」
おしまい。
さてさて!! という訳で、またまた長〜いお話になってしまいました! ごめんなさい!!
しかも大抵の方が望んでいないであろう、双子のお話!!(笑)
一度書いておきたかったんですよね、この3人だけの話。
出来るだけつまらなくならないように頑張ってみたのですが…イマイチな気がギュンギュンするですw
あと今回、かなり台詞が「誰の台詞かわからない」状態だったと思います。 店長も二人の前だとタメ語なので、本当にみんな同じ口調でサッパリですよね…。 申し訳ないです!!
最後に一つ設定画のご紹介

タイトルはズバリ! 「虎伯じいちゃんを探せ!!」(笑)
じいちゃんと石動さんはまだ下着非公開。 今後のお話で出す予定です。
大ちゃんも記載が無いですが、しょうがないですよね。
穿いてないし。
みんなの身長はチョコチョコとイメージで数字出してきましたが、このイラストが自分の中での正確な大きさなのでこちらを決定版とさせて頂きます。
問題は大ちゃん。 文章内で「2m越え」って書いたんですけど、2m行ってなかったよ…。
でもイメージだと大ちゃんってにろさんより低いんですよね。 なので、今後こっそり文章を変えるかもですw まぁ変えるとしてもサイトへの移行の時で、ブログはそのまま自分への戒めとして残しておこうかと。
はぁ…こういうのは最初に起こさないと駄目ですよねぇ〜(笑)
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