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トラトラ

Author:トラトラ
トラトラの日記です。
『のんびり獣道』というお話を掲載させて頂いております。
流す程度に読んでみて頂けると嬉しいです。

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○一つの記事に複数回コメントを書き込まれる場合は、三回までとさせて下さい。
◯楽しい場所にしたいですので、何かしら(アニメや漫画、社会情勢などなど)への批判やディスるといった内容、また自身の主義主張などのコメントへの記載はご遠慮下さい。
◯トラトラ屋創作物で、お話に出ていない設定を尋ねるのはご遠慮下さい。 二次創作等で必要という際には、御自身で自由にお考え頂いて構いませんですので。


以上、宜しくお願い致しますです~!!

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茶道寺編 第二話ー壱
3月初旬ー

sadosto2-1.jpg

普段はあまり感情を荒げることのない、基本的に温厚な茶道寺も、今回ばかりは流石に頭に来た。

電車に揺られながら、一つため息をついて携帯電話を取り出す。


「そっか、家の事情じゃしょうがないよね…」
「すいません…せっかく神様温泉誘ってくれたのに…」
「いやぁ、それがさ、愁哉君だけじゃなくてなんか全員駄目だったんだよね~」
「え? 全員って、源司さんも?」
「うん、なんか神様の会合があるんだって。 平謝りされちゃって困ったよ~」
「ナギタ…他の二人も?」
「うん、ナギさんは元々なんか乗り気じゃなかったみたいで、さっき正式にお断りの電話貰った。 幸志朗さんも自警団絡みでなんかあるみたい。 また行けないってすっごい悔しがってた」
「ハハ、そうでしょうね」
「もう、何か呪ってるんじゃないの?」

電話の向こうの店長が、自分以外の誰かに話しかけた。 「そんな訳無いじゃ~ん」と奥から小さく声がした。 お泊り予定が明日明後日だったから事前に話し合いに待ち合わせでもしたのか、例の双子の神様と一緒にいるらしい。
それにしても、よく神様相手に「呪ってるんじゃない?」とかあっさり言えるものである。 いや、そもそもあの双子の神様に対する気の遣わなさというか、完全お友達感覚が茶道寺にはさっぱり理解できない。 

この世で一番常識が通用しないのは、実は虎鉄さんなのではないかとさえ思える。

しかし…もしこんな状況でなければ、双子神様を除けば今回は虎鉄さんと温泉二人っきりになれたのか…そう思うとますます腹が立つ。

とにかくドタキャンして申し訳ありませんと謝って、そのまま電話を切った。
不機嫌声など店長に聞かせたくなかったのだ。

茶道寺は他の自由人たちとは違い、普通に会社に勤務している。
なので、素敵イベントの発生時に対応できるよう、有給休暇をしこたま温存している。
今回も当然これを使い、明日から二日間休暇を取るつもりだったのだが、いきなり今日明日で勝手に有給休暇を入れられたのである。 これには流石に頭に来た。
だが、文句など言えるはずもない。 何故なら申請を入れたのはこちら側、正確には『本家』のヤツらが勝手にしてしまった事なのだから。 こちらの都合などお構いなしのそのやり口が、本当にムッと来る。

しかし、これほど頭に来るのも少し意外だった。
勝手に有給を使われたことよりも、店長との約束を駄目にされてしまったことに一番腹を立てている自分。
それがどういう意味を孕んでいるのか、茶道寺はもう感づいてはいた。 
ただ、確証が持てなかった。

自分は…同性愛者なのだろうか…?
虎鉄さんの事を、やはりそういう意味で好きになってるのだろうか?

こんなこと、相談できる相手もいないし…そう思い、小さくため息を付いた時、ふと相談できそうな相手がいることに気がついた。
「(そっか、文彦なら話聞いてくれそうだよな…)」

窓の外を流れる景色に目をやる。 そして済んだ空を流れる雲を眺める。
昔は二人で、寝っ転がってよく空眺めてたっけ…


「古豪 文彦(こごう ふみひこ)です。 よろしくお願いします」
中学1年生の春、前の席に座ったその少年は、同い年とは思えない体躯と低い声でそう自己紹介した。

くるりと後ろを振り向いた彼の顔は、その声と体躯から想像していたものとは少しイメージが違っていた。
ゴツイはゴツイのだが、表情がデフォルトで困った笑顔をしていたのだ。 

何と言うか、愛嬌のある顔だと当時の茶道寺は思った。

人懐っこい性格なのか、休み時間はおろか授業中でさえたまに振り向き、彼は自分に気さくに話しかけてくれた。 

自分に友人がいないことを、彼は気付いていたのだろうか。

茶道寺は、小学3年生の時に酷い虐めに遭い、両親が彼を気遣い転校することとなった。
だが彼は、人に傷付けられたこと、そして自分を助けてくれた人物を傷付けてしまったことから他人とのコミュニケーションが上手く取れなくなってしまっていた。
誰かに傷付けられることも、傷付けてしまうことも怖くて仕方がなかったのだ。
結局小学校卒業までまともな友人も作れなかったため、両親は再び転校する事を決めた。 中学校から心機一転と思ってくれたのだろう。

これ以上両親に迷惑はかけられない。 そう思い、彼は妥協策を決めた。
相手を無視したりしない。 普通に受け答えする。 でも、

親しくはならない

それが彼のスタンスになった。
彼は愛想よく受け答えした。 だが、決してプライベートで誰かとともに行動することはない。
周りもそのスタンスに気付いたのか、特に深入りしてくることもなく、便宜上の会話に留まることが殆どであった。

それでも古豪だけは、しきりに話しかけてきた。
気さくで優しい男だ。 自分以外は普通に小学校からの知り合いばかりだろうし、友人も多いだろう。
だが、彼は本来友人達と共に過ごすべき時間の全てを自分とのコミュニケーションに注いでくれていた。 その事が、
正直心苦しかった。

自分の心の中には、ビーカーがある
ビーカーには少しずつ、少しずつ水が溜まっていく
そして気付かないうちに、ある日突然それはいっぱいになり、中の水が溢れ出す

授業中、それは突然訪れた。
急激に気分が悪くなり、授業が終わるとガチャガチャと急いで筆記用具を片付けると、教科書も何も全て乱暴に鞄に放り込んだ。
驚いた古豪が心配そうに話しかけてきたが、茶道寺はそこで初めて、彼を無視した。
そしてそのまま立ち上がると、何も言わずに教室を出て行った。

後ろで古豪が何かを言っていたが、振り向くことすら出来なかった。

家には帰れない。 これ以上迷惑はかけられない。

自然と足は、上へと向かった。

屋上のドアノブをひねると、ガコンと重い音を立ててドアが開いた。
眩しさに目が慣れると、フェンスの向こうに街並みが広がって見えた。

誰もいない。 誰もいない、屋上。
それでもまだ安心出来ない。 誰がいつここに上がってくるかわからない。
自分が出てきた昇降口を見ると、その上の屋根に登った。
はしごも何もつけられていない場所だ、生来の身軽さと運動神経でヒョイと登ると、そこは誰にも見つからないであろう安息の場所となった。
そのまま寝転がると、上を流れる雲が目に入った。

何を思うでもなく、ただそれが流れるさまを目で追っていた。


ガコンとドアが開く音が響き渡り、自分が寝てしまっていたことに気付く。
誰が来たのかわからないが、気付かれないようそっと下を覗くと、

そこにいたのは古豪だった。

自分を探しに来たのかとも思ったが、時計を見るといつの間にか昼を回っていた。 教室を出たのは2時限目の後だ、探しに来るにしてもタイミングがおかしい。
今は丁度昼休みのようだ。 古豪は屋上からグラウンドで遊ぶ生徒たちを見下ろすと、そのままそこに座り込んで、購買で買ったらしいパンを味気なさそうにモソモソと食べ始めた。

その姿が、とても奇妙に映った。

いつもは机を向かい合わせにくっつけて一緒に食事をするのだが、彼はいつだってなんとも美味そうに昼食をとった。
ゲラゲラと笑いながらする話題も豊富だ。 こんな自分でなければ、彼との食事は余程楽しいものになっていただろう。

自分がいない時くらい、昔からの友達と飯食えばいいのに…
なんでこんな場所で、あんな不味そうに…

そう思ったとき、ふと、一つの事に気がついた。

俺…あいつが俺以外と話をしてるの…見たこと無い…

こんな自分でさえ、便宜的であれ何であれ、クラスメイトと話くらいはする。
でも…古豪が誰かと話してるところ…一度も見てない…

パンを食べる彼の表情がわずかに見えたとき、初めて自分はそれに気付いた。

あいつ、友達…いないのか…?

寂しそうな横顔
もしかしたら…小学校で何かあったんじゃないのか…?
それで皆に嫌われて…

それで俺に…だからこそ俺に、あんなに一生懸命話しかけたんじゃないか…?
転校してきた俺だからこそ、事情を何も知らない俺だからこそ…

友達になろうと必死だったんじゃないのか…?

急に胸が痛んだ。
自分を心配して話しかけてきた彼を、無視してしまったことを心底悔やんだ

古豪はいい奴だ。
優しいヤツだ。
あいつが嫌われるなんて  絶対おかしい!!

そんな事  あっちゃ駄目だ!!!

「古豪!!」

気が付くと自分はその場に立ち上がり、彼の名前を呼んでいた。
驚いてキョロキョロと周りを見渡す彼に、もう一度声をかけた。

彼と目が合うと、その瞳がみるみる潤んでいった。
「なんだよお前…! 帰ったんじゃないのかよ…!!」
そう叫んだはずみで、頬を涙がツゥっと走った。
その感触に焦って袖でこすると、再びこちらを恨めしそうに睨んできた。

「悪い、ちょっと具合悪くなって、ここでさぼってた」

何かがスゥっと心から抜けた気がした。
多分俺はその時  笑えたと思う
上から手を伸ばし、古豪に向ける。
「気持ちいいぞ、一緒に上らないか?」

そこからが大変だった。
でかい図体で体重もある古豪を、上から必死に引っ張り上げる。 古豪も古豪でよじ登ろうと必死である。
ようやく二人共に屋根の上に登った時にはもうクタクタで、同時にゴロンと仰向けに転がった。

空を見上げて、ゼーゼー言ってる互いに気付いて、どちらからともなく大笑いした。

「茶道寺愁哉です。」

今更ながらの自己紹介も、古豪もすぐに察してくれたらしい

「古豪文彦。 よろしくな」


それから俺達は、いつだって一緒になった。
家族といるよりも二人でいる時間の方が長くなった。
高校も、大学も、二人は同じ道を歩み、そして

突然別れがやってきた。

文彦は大学卒業後、就職はせずに地元に戻って漁師になると決めたのだ。
祖父の地元で漁師不足が深刻化しているらしい。
文彦らしい理由だし、彼には似合いの仕事だと激励した。
自分は両親の元を離れ、運送会社に務める事を決めていた。

卒業式の日、二人で一つの誓いを立てた。
互いに連絡をとるのをやめよう、それが二人の誓いだった。 
言い出したのは文彦だ。
「あぁ、それ、何となくわかるよ。 文彦の声聞いちゃったら、俺、会いたくなっちゃうかもだし」
「ハハ…俺はさ、多分泣いちゃうんじゃないかと思う」

冗談めかしていった言葉だが、互いに本心だと分かっていた。
だからその場で強く抱き合い、人目も気にせず大泣きしたのだ。

それ以来、互いに約束はしっかり守り、連絡は一度もとっていない。
それでも、今でも胸を張って「親友」と呼べる男である。

あれからもう随分経つ。 俺の周りにもたくさん知り合いが出来た。
職場の人間関係も順調だし、虎鉄さんにも再会できた。
俺でさえこれなのだ。 文彦なんてもっと良い人間関係を構築できてるはずだ。

携帯番号なんかは知らないが、住所だけは大雑把にだが知っている。
今度会いに行ってみようか。 そしてちょっと相談に乗ってもらおうかな…・

あいつなら、真剣に考えてくれそうだ

昔を想うと、いつの間にか自分が不機嫌だったことも忘れてしまっていた。


それが功を奏したのであろう、その違和感に茶道寺は気がついた。
茶道寺が住む標先市からは相当離れ、周りは人里離れたいかにも田舎然としている。 そしてそんなのどかで人影もない木造の駅に、黒塗りの巨大な高級車がつけてある。
本家から送られた迎えの車だろう。 この金持ち丸出しの嫌味な態度が心底大嫌いなのだ。
だが、ふと感じたその違和感ー

運転手が、スーツを着た初老の紳士だったのだ。
小学3年の頃、虐められる前に一度だけ、ここを訪れたことがある。
その時は確か、帽子とか制服を着た、いかにも運転手だった気がするのだが…

特にこちらへの労いの言葉もなく、運転手が無造作にドアを開ける。
こちらも黙って車に乗り込むと、エンジン音も何も聞こえぬままスルスルと走りだした。 この車のメリットであろうそれも、茶道寺には嫌味ったらしくしか映らない。

茶道寺の母方の本家・美作(みまさか)家
この土地の土地神様の神官を代々務めるお家柄で、この美作村を文字通り取り仕切っている旧家である。
星見町の3倍はあるであろう広大な土地に対して人口が8000人程とそう多くないこの村は、緑が溢れ空気も美味しく避暑地として有名で、その上温泉まで湧いているという「村」という名は付いているがむしろリゾート地に近い存在かもしれない。
村人たちが住んでいる区画は農作物に恵まれ、村としての収入はかなりのものである。

それらを全て取り仕切っているのだ、この家の馬鹿げた金持ちぶりも合点が行く。
まだまだ遠いはずなのに、スモークガラスを通して見える向こうには、すでに彼らの敷地を表す塀が視界の左右いっぱいに広がっている。

うざっ

しかし、先程の違和感がどうにも気になる。
いや、冷静に考えてみれば、何故そもそも連休を取らされたのだろう?
どうせ敷地の中には入れてもらえず、門前で何らかの自慢話をされてとんぼ返りではないのだろうか?

美作家にはいくつかのしきたりがある。
この家に獣人を入れてはならない。 というか、獣人大嫌いのお家柄なのだ(神様は別らしい、そういう所にも腹が立つ)。
本家は代々純粋な人間のみで構成され、婿などを入れることは一切ない。
常識で考えれば、獣人男性からは獣人と人間のどちらも生まれるが人間男性からは人間しか生まれないのだから、婿に人間男性を迎えても何ら問題ないはずなのだが、それをこの家の人間はよしとしない。
そんな理由で、ここの当主になるには一つの最低必須条件がある。

二人以上の男児をもうけること。

一人は当主に、もう一人は例の神官職に就くために必要らしい。
神官職も男児限定、これは土地神様との契約らしいが詳しい理由は知らない。 ともかくそうなっているのだ。

故に、女児は基本この家を必然的に出ることになる。
うちの母が正にそうである。 

前回呼び出されたのは小学3年に上がる少し前の頃、二人目の男児が生まれただかで呼び出され、門の内側に入れてもらえることもなく自慢話をされて、そのまま駅に返された。
帰り道にもう一台、同じような高級車とすれ違ったから他にもこんなくだらないことで呼び出された家族がいるんだなぁと思った覚えがある。 彼らも獣人一家なら、同じく門をくぐらせてはもらえなかっただろう。

これらを思い出すと、どうにも連休が腑に落ちない。 とんぼ返りなら今日一日でよかったろうに…


本家に到着すると、その疑念はますます大きく、どす黒いものへと変貌した。
門を通されたばかりか、母屋の、しかも客間に通されたのである。

警戒レベル:強へ移行

ここに来るまでの間に大体の状況は飲み込めた。
まず当主。 次期当主は長男の守光(もりみつ)氏に確定しているそうだ。 既に奥方が双子の男児を懐妊しており、出産のために今は二人共病院にいるらしい。 ご立派なことで。
つまり神官は次男の守人(もりひと)になるということだ。 
神官の交代時期は土地神様が決めるそうだが、神官の最低条件は成人していること、つまり二十歳を過ぎていることだ。
この守人が生まれた時に呼び出されたのが小学2年から3年の間だから、去年か今年に二十歳になってるはずである。

結論:今回の呼出は「自慢の息子・神官になったヨご自慢大会」であろう。

うっざ!!
っていうかもう通された客間からうざい!!!
これ見よがしに飾られた金箔屏風、何だかさっぱりわからない絵が描き殴ってある壺に大皿、何語かもわからない掛け軸、全部うざい!!!
虎鉄さんが双子の神様のお皿を随分褒めてたけど、双子様には是非この皿と壺の鑑定をお願いしたい!! 5000円とかになれ!!!!
窓から外を覗くと、ご立派な庭園が眼下に広がる。 はいはい。

順調に行っていれば、これと同じような、でも全く真逆の素敵な温泉旅館に泊まれてたのかと思うと涙が出てくる。

そう、温泉。
この村でも一番大きい温泉をここが独占しているのだが、まぁ入れさせてもらえることは流石に無いだろう。 入れって言われても嫌だけどな!
そんな事を内心思っていると、ふと襖(ふすま)の向こうから声がした。
スッと女中が顔を出し、浴衣を一着こちらに差し出した。

「湯浴みの準備が整ってございます」

警戒レベル:マックスハート!!!

変に断れば間違いなく被害は両親に及ぶ、仕方が無いので浴場に向かう。
脱衣場で服を脱ぐと、キョロキョロと辺りを見回してみる。
監視カメラでもあって、ニヤニヤこちらの恥ずかしい映像でも撮ってるんじゃないかと思ったからだが、さして不審なものは見当たらない。

そのまま温泉に向かい、適当に体を流すと湯に浸かった。

まぁ…気持ちはいいわな
温泉自身に罪は無し、天然だし体に滲みる。
フーっと警戒レベルを下げようとしたとき、それが目に入った!!

ダーダン ダーダン ダンダンダンダンダンダンダンダン
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「食っちまうぞぉおおお!!!!!」

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「うわー!! ちょい待ちちょい待ち!!!

俺俺!!!!!」

凄まじい速さで眼前に迫った茶道寺の拳がかろうじてピタリと止まった。

「…文彦?」
「そうだよ!! っていうか、いきなりグー!!? 軽いギャグじゃない!!!」
「いや、すまん…最近周りの環境が凄くてな…条件反射で攻撃繰り出せないと命が危ないのだ」

「どんだけ劣悪な状況で生きてるの!!?」

驚かせようとした文彦の方がゼーゼー言っている。 余程の形相だったのだろう…

あれ? いや…
「え? っていうか、何でお前ここにいんの…?」
「そう!! まずはそこからでしょ!!? いきなりグーて!!!」
「それはお前が下らない事しようとするからだろ」
「あ、そっか! 実は愁哉、俺のパニックムービー大作戦に超絶ビビってたり!?(ニヤニヤ)」
「いや、被ってるし、源司さんと」(※夏祭り参照)
被ってる!!? 人が一番気にしていることをよくもサラリと…!! このうなぎおちんちん!!!」

グリグリグリグリグリグリ

「痛い痛い痛い痛い!!! こめかみはマジで痛いって!!!」
「いいから、なんでここにいんのか答えろ、話が進まん」

グリグリ地獄から開放されると、一息ついて文彦がこちらを見る。
「愁哉のお母さん、苗字は?」
「美作」
「うちもなんだよね~♪」
「…は?」
「そ! 俺たち従兄弟だったんだってさー!! これ聞いたときは腹筋捻れるかと思ったわよ!!」

「…なぁ文彦」
「なに!? 感動の再会!!? よっしゃ、来いカモン!!」
「いや、そんなモリモリの胸に飛び込みたくないし…っていうかさ、さっきからちょくちょく変な言葉遣いになってね?」
「あ…やっぱ出ちゃってる? 気にしてはいるんだけどさ~、ちょっと気ぃ抜くと一人称もアタシとかになっちゃいそうなのよね~」
「どんなイメチェンだよ…声とか見てくれに合わな過ぎで怖えぇよ」
「愁哉じゃないけど、周りの環境?っていうか職場の影響って凄くってさ~」

「職場って漁師だろ…?」
「あ、いやそれがさ、漁師にはならなかったのよね~」
「は!? 何で!!?」
「いやぁ…俺さぁ~」
sadosto2-4.jpg
カナヅチだった☆」

「鮫なのに!!?」

「そうそう! 水泳とか一度も取らなかったから知らなくってさぁ~! で、じいさまとかもう呆れるを通り越して笑っちゃって、今じゃ元気に漁を再開してます☆」
「CMか!? 皇潤のCMか!!?」
「で、折角だから地元のゲイバーで働くことにしました」
「ゲイバー!!?」
「だってほら、ホモに生まれたからにはねぇ?」
「ホモって!!!?」
「小学生の頃はそういうのよくわかってなくて、担任にコクったら周りにドン引きされてさ~」
「お前嫌われてた理由それ!!!!?」
「で、凹みつつもう恋なんてしないなんて思ってたら、俺の後ろに純真無垢の天使が舞い降りちゃったじゃない! もう毎日がドッキドキ★」
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「それ俺のことぉおおお!!!!!?」

「安心しろ愁哉、お前と親しくなってからはお前の全裸でオナった回数は激減したぞ!」
「すんなよ!! そもそも!!! お前、そんな目で俺を見てたのか!!?」
「愁哉…よく覚えておくんだ」
「は…?」

「男は皆ケモノなんだよ」

「お前鮫じゃん!!!!!」

離れていた年月なんて嘘のように、二人は昔のようにふざけ合ってじゃれ合った。
豊かに湧き出る湯船を波立たせ、二人は屋敷内に響き渡るほど大笑いした。
茶道寺にとって、親友が同性愛者だったことなど、実はそう大した問題ではなかったのだ。

心の距離は、少しも変わっていなかった
その事が嬉しくて、でもそれを気付かれるのが恥ずかしくて、涙が滲むのを誤魔化すように湯を掛け合う。
それは文彦も同じなんだと気付ける自分が、なにより嬉しかった。

昔のままの親友がそこにいた





湯船でじゃれ合う二人の姿を、遠くから、眺める二つの瞳があった

「古豪文彦、茶道寺愁哉…なるほど」

その瞳は赤く  赤く

「そうだな…たまにはこういう珍味も、悪くなかろう…」


茶道寺編 第二話

『そのおくにひそむけもの』


続く





はい、という訳で第二話の始まりです~!!
ようやく登場しました、新キャラ3人目!
humihikosettei.jpg
古豪 文彦(こごう ふみひこ)君

年齢は茶道寺君と同い年、この時点では茶道寺君共28歳ですね。
お風呂ネタから鮫にしようというのは当初から考えてはいたのですが、いざ描いてみると難しい~!! デザインに四苦八苦でした(よく皆さんさらっと描けますよね~)
特徴はガチムチ、ホモ、たまにオネェ言葉、そしてカナヅチ。
あとはトラトラのいつもの趣味で頬骨装備かな。 ちなみにエラが見えますが、あれはエラではなくただの模様です。
鮫という獣(?)人は漁港なんかにはたまにいますが、海が近くにない街にはまずいません。 稀少種というか生息地が偏った種族かな?
まぁ個体数も少ないんですけどね。 虎といい勝負かも。
髪の毛はスキンヘッドではなく、生えません。 でも体毛は生えてます。
それが男のロマンよね。

それともう一つ小話が。
茶道寺さんの眉毛について。
お気付きの方がもしかしたらいらっしゃるかもですが、当初彼の眉毛は黒でした。 これは、眉毛と言うのは体毛で、頭髪と陰毛の色が違うと眉毛は陰毛側の色になるという遺伝学上の理論からそうしたのですが、よく考えたら獣人さんたちってこの理論当てはまってないんですよね。 店長しかりナギさんしかり。
で、それならイメージ的に眉毛は頭髪と一緒の色~!と言うことで、正式に栗毛色にしました。 コロコロ変わってすいません(汗

さらに!
下の「設定資料集」記事、拍手どうもありがとうございますー!!
まさかの300超え!!? コメントでは初めてのお名前もたくさん頂きまして、改めて色んな方々に読んで頂けてるのだなーと感動しました!!
いつもお読み下さってありがとうございます!!
設定集は少しずつ進めておりますよ~!

ではでは、次回はコミケ後になるかと思います~ 

あ、そうそう! コミケ来られる方は、前回面識あっても出来ればお名前言って頂けると嬉しいです!
「お久しぶりです、わかりますか?」とか言われると、トラトラパニックになっちゃいますので!! お願い!!!
ではでは、当日お会いできる方はどうぞ宜しくです~!! ボガーン!!

のんけも | 17:00:33 | Trackback(0) | Comments(46)

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