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トラトラ

Author:トラトラ
トラトラの日記です。
『のんびり獣道』というお話を掲載させて頂いております。
流す程度に読んでみて頂けると嬉しいです。

※注意事項です※
○コメントレスが非常に遅くなっております。 お急ぎの要件、レスが早く必要だという場合は、個別にレスが付けられる拍手コメントですとすぐにお返事が付けられますので、そちらのご利用をお願い致します。
○コメントにお話の予想やネタバレになりそうな内容を書き込まれる場合は、非公開でお願い致します。 ただ、拍手コメントは非公開にされますとレスが書けなくなりますのでご注意下さい。
○一つの記事に複数回コメントを書き込まれる場合は、三回までとさせて下さい。
◯楽しい場所にしたいですので、何かしら(アニメや漫画、社会情勢などなど)への批判やディスるといった内容、また自身の主義主張などのコメントへの記載はご遠慮下さい。
◯トラトラ屋創作物で、お話に出ていない設定を尋ねるのはご遠慮下さい。 二次創作等で必要という際には、御自身で自由にお考え頂いて構いませんですので。


以上、宜しくお願い致しますです~!!

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さぁ、神々の話をしよう
今回は一息挟んで短編です~。
コメントご協力ありがとうございますー!! お陰さまで更新も順調にできました!!
ちなみに今回は、後半とんでもなく読みづらくなります。 設定に特にご興味のない方は流し読みの方向で!!
では、どぞー!!



「んじゃ、そっち行くわよ~!」
携帯の声と共に、鳥居が赤く輝きはじめる。
鳥居の向こうに見える坂の上の景色が揺らぎ、まばゆい光に包まれる。
途端に潮の香りが鼻をくすぐり、光の中から親友がヒョイっと姿を表した。
鳥居に囲われた向こうの景色が、四角く切り取られた絵画のように、穏やかな海に変わっていた。

kamigami1.jpg
「はぁい、愁哉! 一週間ぶり~!!」
「一週間ぶりー!」

文彦も、神官服でやって来た。
これを着ると、ちょっと自分が変わったようで何だか楽しい。

「しっかし凄いなー、俺もさっき、そんな風に出てきたんだろなー」
「便利よねー、これ! 交通費要らずで助かるわ~☆」
「そっちの鳥居って本当に海のど真ん中に立ってるんだ?」
「ま、ね~」

それにしても不思議な光景である。
鳥居を境に、地面があるべき部分にポッカリと海が広がっている。
海水がこちらに流れ込んでこないかと思ったが、幸いにも(?)向こうの方が低い位置にあるようだ。
文彦が乗ってきたらしいボートがプカプカ浮いている。

「そいつでそこまで来たのか?」
「そ。 鳥居があるのって漁港の方じゃないからそんなに深さがなくてねー、漁船じゃつけられないの」
「ボート、流されちゃわない?」
「紐で鳥居にくくってあるから平気よ~! 本当、愁哉って変な所で心配性よねぇ」

そう笑いながら言うと、こちら側に完全に重心を移動させる。 
鳥居から手を離すと、海の景色がスゥっと消えた。

「ついにお仕事開始ね~。 どんな事から始めるのかしら、聞いた?」
「いや、呼び出し入っただけ。 やっぱりまずは掃除とかかなぁ」

二人であれやこれやと憶測を飛び交わせていると、祠の方から人が一人降りてきた。

「やぁ、二人共」
kamigami2.jpg
「あ、守光さん!」
「こんにちわ~!」

二人共守光氏にはすっかり慣れ、普通に声をかけられるようになっていた。
表情は相変わらずムスっとしているが、これがこの人のデフォルトなのだ。

「神官の仕事かい?」
「えぇ。 守光さんは?」
「村の運営やら、細かい部分の話を聞いて頂いていたところだ。 早めに切り上げたおかげで君らの邪魔をせずに済んだな」

こういう時に以前見せてくれたような笑顔をしてくれればまた印象も変わるのに、全く表情が変わらないから嫌味を言われているようにも取れてしまう。 以前はそれでこの人を随分と誤解したのだ。
とは言えー

「では、私は失礼するよ」
「はい、お疲れ様っすー!!」

「…まったく、あの阿呆の父が村の金を無駄遣いしなければ、もっと潤沢な運営が出来たものを…」
坂を降りながらブチブチと文句をいう守光さんを見て思う。

kamigami3.jpg

あの人は、本当に表情で損をしているよなぁ…

「守光さんて…」
「(お、文彦も同じこと考えてたな?)」
ちょっと可愛いわよね

全然違うこと考えてた!!!

「え? 何…? 可愛い?」
「うん、体格だって結構細めに見えてがっしりしてそうだし、顔だって男前より若干強面寄りじゃない? 背だってそこそこあるし、結構好みかもだわ~!」

キャッと小さく声を上げると顔を赤くした。

「…お前、守光さん既に結婚して二児のパパじゃないか…」
「もう~、そこがまたイイんじゃない!! 当主を継ぐために望まずに女性を抱いた彼、そして彼は眠る二人の子供たちの前で男に抱かれ、喘ぎ声を漏らさぬよう必死に快感に耐えるのよ…!! 今夜のオカズはこれで決まりね!!!」
「よくそんな妄想膨らむよな…何で守光さんホモ前提なんだよ…」
「は~、守光さんのおちんちん見れないかな~。 裸でもいいから見たいな~。 でもやっぱりおちんちんも見たいな~。 出来れば間近でガン見させてもらえないかな~」

そんな機会、永遠に訪れねぇよ…!!


祠の中を二人でテクテク歩いていく。

森羅様がここの主になってから、祠やその周りも随分と様変わりした。
祠のすぐ前にあった鳥居も、既に通行規制のゲートとしての意味を持たなくなったのと、神官二人の移動手段として頻繁に使うようになったため、祠から少し離した場所に設置し直された。 祠から出てきた誰かと急にぶつかるのを防ぐためである。
そして、ただの洞窟然としていた祠の通路も、途中からは綺麗な長方形に切り取られた通路へと舗装され、灯りは付けられていないもののほんのり明るく、とても歩きやすい通路へと変わっていた。

通路の突き当たりには、以前はそのままドーム状の空間に繋がっていたが、今は壁が設けられ、ドアが取り付けられていた。
木製のシンプルなドアには表札が付けられ、そこには「森羅」とだけ書かれている。
その素っ気無さというかシンプルさが、なんともあの落ち着いた、紳士然とした森羅様らしい。

軽く二度ノックする。
「森羅様、茶道寺と古豪、只今到着しましたー!」

こんな感じでいいのかな…

「おぉ、入り給え入り給え」

ドアの向こうで声がする。 神様っていうよりは何だか会社の社長みたいな雰囲気である。

「失礼しまーす」

二人共頭を低くして、伏し目がちにドアを開けると中に入る。

ここの内装も随分と変わっている。
以前はドーム状の空間に家具などは何も置いていなくて、ただ中央に寝床が置いてあるのみであった。
寝床は無論、「攻め用」に相手を寝かせるためだけにあったように思う。
全く生活感のない、どうやって毎日を過ごしているのか不思議な空間であった。

だが今は、その空間に雑多に家具が配置されていた。
ソファーに観葉植物、本棚にデスクに、何に使うかよくわからないホワイトボードまである。 奥にはキッチンらしきものも見えた。
また、壁に囲まれた部屋らしきものが二つあり、どうやらおトイレと寝室らしい。
この無機質な空間に変な生活感があり、これはこれで何だか可笑しかった。
顔を上げてここの主を探すと、例のヘルメットを被った異形の神様、森羅様が横の方からテクテクと歩いてきた。

「やぁ、二人共ご苦労さん」
kamigami4.jpg

森羅様、ラフだなー!!!


短編 「さぁ、神々の話をしよう」


「し、森羅様…そんなラフな格好でいいんすか…?」

初登場時の凛々しさは欠片も感じられないランニング姿に、完全に気が抜けた。

「いやいや、君もこのスーツを一度着てみ給えよ!? 機能を重視した分、暑っ苦しいのだ! 襟も高いし裾も長いし、脱がずになどおれんよ!」

っていうか、暑っ苦しい最大の原因はヘルメットなんじゃ…?
いや、相手は神様だ。 あのヘルメットのようなものが素顔なのかも…

「メットの中は快適とは言え、流石に汗でびしょ濡れだよ。 髭が湿って仕様がない。」

あ、違ったっすね…
つか森羅様、髭紳士…?

「まさか、守光さんの前でもその格好だったんじゃ…」
「ハハハ、そこまで礼儀知らずではないよ。 君たちは私の部下だからね、言わば身内だからこそこうして気を許させてもらっている」
「森羅様…」
「よし! シャツも脱いでしまおう!!」

…ただの脱ぎたがり…?
身内相手だとどんどんラフになっていく、というかこちらが素なのだろうか?
格好いいイメージがどんどん薄れていく(笑)

「さて、と。 用件の前に…古豪君! 漁師の方はどうかね!?」
「は、はいっ!!? え、えと…順調です!!」

いきなり話をふられりゃ、まぁそうなるわなw

「バーの方もかね!?」
「はい! むしろ現役漁師になったことで、以前にも増して人気者になりつつあります…!」

kamigami5.jpg

「マーベラス!!!!!」

えぇえええええええええええええええ!!?

「茶道寺君の方はどうかね!? 恋のライバルに一矢報いることは出来たかね!?」

「あ…い、いえ、むしろこてんぱんにされたといいますか…」
「こてんぱん!? そんなにもかね!?」
「はい…もう赤子の手を捻られるが如く…」

kamigami5.jpg

「マトリョーシカ!!!!!」

マトリョーシカ!!!!?

「そ、それはどのような意味で言ったんすか!!?」

「…よし、では今日の話を始めよう!」

まさかの全無視!!?

し、森羅様のシャウトには、あまり意味ないんすかね…

「さて、本日来てもらったのは他でもない! 君らに少しずつ、我々神々の話を知ってもらおうと思ってな! つまり本日は『スーパーお勉強タイム』というわけだ!!!」

えぇえええええええええええええええええ!!!!?

「ちょ、ちょっと待ってください!! 攻式神官っていうくらいだから、何かバトるんじゃないんですか!!?」
「いや、それよりもお掃除するっすよ!!」

実を言うとこの二人、中学高校と授業をサボりまくっていたサボり魔だったのだ!!! 二人共お勉強はたいして出来ないのだ!!!!! 

が、しかし!!

「いやいや、攻式神官の仕事はそうそう入るものでもないし、それについてはまた今度話をしよう。 掃除にしたってまだまだ綺麗に使っているよ! ほらほら、そんな訳だから神装なんて解き給え解き給え! はい、これテキストね!」

森羅様、聞く耳持たず!!
ひぎゃぁあああああああああああ!!!!!
神様相手に「お勉強キラーイ」などと言えるはずも無し!!

「準備はいいかね!?」
kamigami6.jpg
「「はい…」」

「エクセレント!!!!!」

「(あ、あそこ開くんだ…)」
既に若干逃避モードの二人であった(笑)

「さて、それではこの世界について話をしよう。 君たちが聞いてきた話とは随分違う部分もあるだろうが、しっかり知っておいて欲しい」
「はい…」

お勉強と聞いて拒絶反応を示したものの、よく考えればこれは随分と興味深い話ではなかろうか?
世界の仕組みや神様の話、漫画やアニメが好きな二人にとってはむしろ設定集を読むような感覚かもしれない。

「まず、この世界が誕生したのが今から2010年前だね」
「そうっすね、『生歴』2010年ですもんね」
「そうだね。 で、創造神がこの世界を創ったわけだ」

「…やっぱり本当に神様がこの世界を創ったんすか? 昔はなんか全然疑問に思ってなかったんすけど…」
「あ、俺もなんか変な違和感感じるようになったかも。 アニメとかだろ?」
「うん、漫画やアニメなんかじゃ普通に神様がいない地球が舞台になってて、宇宙だって星だって、神様が創ったなんてファンタジー世界くらいしか…」
「でも、それを疑問にも思ったことなかったのよね、なんでだろ?」

「うん、君たちは面白いね。 順応性が高いのかな? そう、そこは疑問に思って正解なんだ。 君たちは『神官』としての力を持っているからね、神々が敷いた『矯正力』から少し外れたんだ」
「きょうせい…何すか?」
「矯正力。 今やっているアニメや漫画に関わらず、多くのアミューズメントは『過去世界』のデータアーカイブからの再現に過ぎないんだね。 この世界用に作り替えても良かったのだが、これを担当している神が作り替えなど邪道だと言い張ってね。 で、そっくりそのまま再現している。 プラモデルの発売日なんかも再現しているんだから本当に凝り性だよ。 で、話は逸れたがそれら過去世界のアミューズメントの世界観を疑問に思わないように、常に世界が人々の認識をずらしているんだね。 これが『矯正力』だ」

「すいません…既に分からなくなってるんすけど…過去世界?って…?」
ディ・モールト!!! で、そこから世界創造の話につながる訳だ!」
「ディ…??」
「今私たちが住んでいるこの世界は、実はオリジナルの地球を『模倣』と『創世』の力で複製した、いわゆる『コピー』なんだよ。 で、そのオリジナルの地球のことを『過去世界』と呼称しているんだね」

「コピー…? え…、ここが? わ、惑星が…?」
「そう。 詳しくは後で話すとして、で、それを行ったのが現在この世界に君臨している4人の最高神達という訳だ」

そう言いながら、森羅様は二人が座っているソファの正面にホワイトボードを持ってきた。 
こういう時用のホワイトボードだったのか…
キュポンとマーカーのキャップを外すと、キュッキュとボードに何かを書き始めた。

「じゃ、その最高神の説明するぞ。 まずは一人目、エロの神・睦月
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「エロの神!!?」

「そうだ、見た目は可愛らしかったり精悍な青年だったりするが、中身はケダモノだ。 人間の姿なのにオオカミの耳と尻尾が生えている青年がいたら、不用意には近づかぬことだ。」

最高神様なのに、有害指定…?

「では次。 二人目の最高神、受けの神・グレイ
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「う…受け?」

「すいません、森羅様! 俺、受けとか聞いちゃうとどうしても男性同性愛者カップリング的『受け攻め』を連想しちゃうのよ…のですけど…」
「あぁ、その受けで合ってる」

「合ってるの!!!?」

「うむ、彼はなかなか立派なオチンチンをしているのだが、それが誰かの穴を攻めることは永遠にないだろう。 それは常に弄ばれ、愛でられるシロモノだ」
「…お、おい! 文彦お前、何テント張ってんだよ…!」
「だって! 最高神様の受けの姿とか想像しちゃったらたまんないじゃない!!」
「性癖はともかくとして、今は私の遥か上の存在なのに今でも私を上司と敬ってくれる、本当に出来た、可愛いヤツなのだ」
「森羅様、最高神様の上司だったんすか!!!?」
「あ、うん…まぁ、ハハハ。 大昔の話だし、忘れてくれ給え。 では次な」
「…はぁ」
「はい、こんなのがエロの神・樹
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「エロの神、二人目なんすけど!!!?」

「事実は変えられんよ。 コヤツの頭の中は常に推理かエロいことで埋め尽くされている。 漢の尻、つまるところの『漢尻(おしり)』が三度の飯より好きな男でな、旧知の仲の私の尻さえ事あれば揉むようなハレンチ学園だ」
「ひ、ヒドイ言われようっすね…(てか、こっちの神様とは旧知の仲って…)」
「特に古豪君は胸も尻もかなりイイ盛り上がり方をしているから気をつけ給え!! 隙あらばびっくりするくらい揉みしだいてくるからな!! 睦月君との協力プレイも凶悪だ!!!」
「わ、わかりました…」
「というか、絵だけ見ると俺の知ってる土地神様にそっくりっすね」
「あぁ、源司君だろう? 彼はこの樹の『直系子孫』、いわゆる『純血』にあたる。 外見的な違いは角の折れと額のバッテン傷くらい…あ、バッテン傷描くの忘れたな、まぁいいや」

樹さんって神様、扱い軽いなぁ…

「やっぱり神様って竜神様が多いんすか? 何かそんな話聞いたことあるんすけど」
「あ、前の心良様も竜神様だったわよね」
「あぁ、アイツあれでかなりモテるからねぇ。 土地神を増やすときにアイツの遺伝子欲しがるヤツが多かったのだ。 まぁそこはちょっと置いておいてくれ。 後で話すよ」
「はーい!」

随分と森羅様の授業に慣れてきた(笑)

「で、最後の一人。 ツッコミの神・鷹人
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「ツッコミの神!!!?」

「いやぁ、彼のツッコミは容赦無いぞ? 私も仕事場でパンツ一丁だった時、何度彼にツッコミを喰らったことか!!」

あ、やっぱり脱ぎたがりだったのか…

「で、彼ら4人を合わせて、現在の最高神4人衆となるわけだ」
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未来に不安しか感じねぇ…

「この4人が世界を創った、いわゆる『創造神』になる。 先も話した通り、オリジナルの地球をコピーしたんだね」
「あの、ちょっと質問いいっすか?」
「はいどうぞ、茶道寺君」
「地球をコピーってことは、俺らもその『オリジナルの地球』にいた人たちのコピーなんすか?」
「あ、そうよね?」

「ふむ、結構きついところ突いてくるな。 この辺りは結構ヘビーだけど、いいかい?」

二人は顔を見合わせ、どうせだからと顔を縦に振った。

「うん。 じゃあ少し遡って話をしよう。 まず、オリジナルの地球なんだが、そこには知性の高い我らのような生物は『人間』の一種類しかいなかった。 獣人や鬼種は存在していなかった。」
「いない…? 獣人も鬼種も…?」
「そうだ。 で、そんな人類の前に巨大な異形の生物が現れた。 最初に2体、イギリスとロシアに現れ、後に日本にも現れた。 この巨大生物は、自重で死んでしまうという訳のわからない生物だったのだが、こいつには重大なトラップがあった。 死亡と同時に体から大量のウイルスを発生させ、感染した生物を『死亡』か『変質』のどちらかにしか導かなかったんだ。 これを恐れた人類は、この3国を『壁』で閉じ込めた。 そこにいた人々もろともね。」
「…ヒデェ…」
「…全体の為に犠牲はつきものってヤツっすよね…よく聞きます…」
「犠牲にされた当事者にしてみれば冗談じゃないって話さ。 まぁそこは置いておいて。 で、壁の中で生き残った者達は皆姿が人からかけ離れていった。 頭に角が生えたり、全身が体毛に覆われたり、尻尾が生えたり、ね」

「…それって…」
「獣人と鬼種…?」
「そう、その原点、オリジナルだね。 で、壁の外の人間たちは彼らを恐れ、忌み嫌った。 そして最後には、彼らを皆殺しにしてしまったんだ。」

「…それ、マジっすか…?」

「あぁ。 だが、殺されなかった者がいた。 それが、彼ら4人と私を含む数名だ。 そして4人は人類との決別を決意した。 3体の異形の巨人の遺体に含まれる莫大なエネルギーを利用して、自分たちが持つ力を異常強化したんだ。 世界の全ての『時を止め』、物質情報の増加を停止させた状態で『模倣』と『創世』で星を創り、そして、3体の巨人と、無意味に命を奪われた者達の残された遺体の全てをその星に『転移』させ、複製地球における彼らの『時間を逆行』させたんだ。 失われた命の全てが戻るまで、ね。 そして最後に、オリジナルの地球がある宇宙とは別の、永遠に交わることのない位相の宇宙に星ごと『転移』したんだ。 ただ、太陽までは作れなかったから、光の粒子と波だけはこちらにも届くようにしたらしいね。 まぁこの措置が奴らに付け入る隙を与えてしまったわけだが…」

「(愁哉…あとで噛み砕いて教えて…)」
「(俺、もう何語かもわからねぇよ…)」

「こうしてこの世界が生まれた。 今から2010年前の話だ。 で、今の経緯からこの星には『日本』『イギリス』『ロシア』の3国しかなくなったわけだが、ここからさらに年月を経て色々なことが起こる。 まずは…『鷹人の死』だな」

「…え? 神様、死んじゃったんすか!?」
「当時の彼は神でも何でもなかったんだよ。 ただの、そうだね、仲間思いの普通の男だったんだよ。 彼は、地球における大虐殺時の大怪我が元かはハッキリとはしないが、随分と短命で命を落とした。 それが睦月君を精神的に潰してしまった。 鷹人の大怪我は、グレイを殺され自我を失い、多くの人間を虐殺した睦月君自身の手によるものだったからね。 昔のように自我を失えればまだ救われたかも知れないが、鷹人がそれを許さなかった。 それが彼の遺言でもあり、最後までその傷を治そうとしなかった彼なりの親友への『戒め』でもあった。 結果睦月君はこの世界では、鷹人が生きていたこの世界では生きて行けなくなり、介護を買って出たグレイと共に雲隠れしてしまった。 グレイと睦月君は恋仲だったが、睦月君にとってはグレイも、鷹人も、どちらもかけがえがなかったんだ。 どちらを失っても、彼は立ってさえいられなくなるほど、世界で最も強力な生物であると同時に最も弱い人間でもあった、ということなんだろうね」

最後の方は、何となくわかる気がした。
文彦と再会した自分は、きっと虎鉄さんと文彦、どちらを失っても自分として生きていられなくなると思う。 
それを想像するだけで、胃の奥が冷たく重くなる。

「幸いグレイは殺された当時、ある人物の助力で意識をサルベージできたが、鷹人にそんな奇跡が起こるのは遥か未来だったからね。 今でこそ神様になれて元気にツッコミしているが、結局当時はそのまま埋葬されたんだ。 そしてそれから多くの時が経ち、世代が重なるごとに人々の変質も進んでいった。 獣人や鬼種が今のような姿に確立していった時代、次の出来事が起こった。 生歴244年ー」

「…種族大戦…」
「そうだね。 彼らが夢見て創った、誰もが笑顔で平和に過ごせる世界は、たった7,8世代で壊れてしまったわけだ。」
「…その時に神様が生まれたんですよね? 研究者達でしたっけ?」
「世界に伝わっているのは確かー
『自分達の住んでいる世界より前に違う世界があり、そこには「獣人」と「ヒト」と「鬼種」がいた。
それぞれに増え続けた3種は、生活圏を争い殺し合いを始め、獣人たちが争いのない平和な世界を願って、世界法則を理解し制御する方法を見つける。 好戦的で多種を殺し続けた「鬼種」はその殆どを打ち滅ぼされ、それ以外の種族でも、殺す事に喜びを感じるものは次々と姿を消して行き、世界に平和が訪れる。
世界には「ヒト」と、研究に参加しなかった「獣人」と、生き残った僅かな「鬼種」が争う事無く生活し、法則の全てを司る獣人たちは「神様」となったー』
と、こんな感じだったかな?」
「うわー、ソラで言えるんすねー!」
「うん、俺も子供の頃そんな話聞いた」
「これは多くのことをマイルドに語っている。 実際はもっと酷い状況だった。 まず、大戦のきっかけになったのは『生活圏』なんかじゃない、多種への怨恨だよ」
「…怨恨って…殺し合うほどなんすか…?」

「いきなり殺したくなるわけじゃないんだ。 それは日に日に少しずつ、溜まっていくんだ。 先程も言ったとおり、人が姿を変えたのは『ウイルス』による影響だ。 このウイルスに変質させられると、人間の時とは比べものにならないほどの身体能力を手に入れられる。 だが、容姿は大きく変化してしまう。 このウイルスには現在のこの星の住人は多かれ少なかれ必ず感染していることになる。 感染した者達の末裔だからね。 だが、種族が分かれることになった。 ウイルスに対する『身体変質への抵抗値』が高いと『人間』に、『ウイルス順応・適応値』が高いと『獣人』に、そしてこの相反する『抵抗値』と『適応値』の両方を高レベルで持っているものが『鬼種』となった。」

「抵抗値は次世代に引き継がれ、適応値は世代を重ねるごとに高くなる。 そして適応値が高い親の子供にいきなり抵抗値が発生することがあるが、逆に抵抗値が高い親の子供に適応値は発生しない。 両者を高レベルで持っている種族は特殊で、その二つの性質は永遠に受け継がれる。 これが遺伝の法則で、つまり鬼種からは鬼種しか、人間からは人間しか生まれないが、獣人の親からは人間が生まれることがある、ということになるね。 また、女性は全て人間に統一されている。 これは、女性が変質すると生殖機能を完全に失ってしまうことに起因する。 ウイルスによる変質が『種の保存』よりも『個の保存』を優先するためだ。 男性の生殖能力は精子数の低下程度で済んだが、女性の生殖能力は生理現象や出産など人体に負担を掛ける機能が殆どだったため、不要と判断されたんだろうね。 抵抗値が高い女性以外は、皆生殖能力を失ってしまっていたんだ。 そのため女性の種族だけは人間になるよう神側で管理しているわけだ。」

「さてすまん、話を元に戻そう。 そんな背景もあり、人間達は、世代を重ねるごとにどんどん姿が獣に近くなり強靭な肉体を手に入れていく獣人を恐れ、妬み、嫌悪していく。 そして獣人達はそんな人間達を嫌い、疎(うと)み、逆に見下すものも出てくる。 獣人家庭に生まれた人間の男子は、随分と差別されたと聞く。 そして、他の種族よりも圧倒的に強い力を持った鬼種達の傲慢と増長。 村で、街で、その諍(いさか)いは少しずつ根を広げ、次第に彼らは種族で固まるようになっていく。 生殖能力を持つ人間女性はどの種族でも必要としたが、人間が同じ種族だからと独占する傾向にあった。 それがまた種族間の溝を深めていった。 そしてある日、鬼種による暴行に耐えかねた者達が彼らの命を奪う。 そしてそれに続く鬼種による報復、『その街の者の皆殺し』が起こり、その火種は国中に広がった。 だがそれは日本国内だけじゃなかった、世界中でほぼ同時に事は起こったんだ。 これがいわゆる『種族大戦』となった。 ここで登場するのが『研究者』だね。 神様のオリジナルになった者達、実はその中心人物が『樹』だ。」

「え…と、最高神様…?」
「最初の神様になったんだから最高神…ってあれ? 創造神様が最高神…??」

茶道寺君も文彦君も、既にオーバーヒート気味です(笑)

「樹は創造に携わったが、鷹人と同じで神の力を持っていなかったんだよ。 その力を有していたのは雲隠れしてしまった二人だけで、樹と鷹人はあくまで『協力者』だったんだ。 とはいえ感染第一世代であそこまで身体変質を起こした樹だ、肉体は常識を遥かに超えていて、その年でもまだ生きていた。 で、世界の創造に携わった者として、この戦争を止めようとした。 手段は分かっていた、この世界の『ワールドニューロネットワーク』の支配だ。」

「(またわかんない単語出てきた…)」
「(しゅ、愁哉…俺もう吐きそう…)」

「世界は3体の巨人の遺体を中枢として、まるで世界全体がひとつの脳であるように情報統制されている。 これがワールドニューロネットワークだ。 人々は全てが感染ウイルスを通じてこのネットワークと結ばれている、いわば情報端末だ。 常にネットワークより情報を与えられて生きている。 ならば逆にこのネットワークに端末から情報を送り込んで支配できないかと考えた。 その為に樹は、自分と、当時の仲間達6人の体を隅々まで調べつくした。 これには私も後に参加した。 だが、我らの体をどんなに調べても、答えには到達できなかった。 我々は、肝心なものを持っていなかったからな。 それがネットワーク支配が可能な『心核』だ。」

ホワイトボードに文字を書く。

「結局我々は、心を壊して療養していた彼らに頼るしかなかった。 樹は最後までそれを拒んでいたなぁ…荒んだその世界を見せたくなかったんだろうな…。 二人きりになったとき悔しくて泣いていたよ。 だが結局、我々はグレイと連絡を取った。 手段は私が持っていたからね。 そして彼一人だけがこちらに現れ、彼の心核を解析することでネットワーク支配用廉価心核『神格』を作り出すことに成功したんだ。」

ホワイトボードに「神格」と書き、先程書いた「心核」から矢印を引く。

「とは言え、機能の使い方だけしか理解できず、その構成の半分以上が理解不能のブラックボックス状態のままだったがね。 かつての人類が残した『クローン技術』が皮肉にも役立ったわけだ。 こうして彼らはネットワークを介して全世界の人々にアクセスし、全細胞への強制アポトーシスを引き起こして命を奪ったりもした。 相当な覚悟だったろうが、それでも人が無意味に死なない、平和な世界を願ってそうするしかなかった。 そうして出来上がったのが現在の『神システム』というわけだ! さて、ここからは『土地神について』だな!」

「「(タス…ケテ…!!)」」

「初代の神様は私を含めて全部で8人、これでは何をどうやっても世界を永続的に見ていけない、もっと細かく、かつ影響を最小限にするために、担当区域の細分化が必要となった。 そうして取られたのが『土地神制度』だ。 あぁ、ちなみにイギリスとロシアには神様がいない。 向こうに神格を任せられるほど信用のおける者が見つからなかったため、最高評議会が2国の監視も兼任することになった。 で、その最高評議会も含め、土地神制度施行に当たって問題だったのが、単純に人員だ。 8人ではどうにもならない。 で、造られたのが樹の『模倣能力』と人類の『クローン技術』を元に作られた『神創(しんそう)システム』だ。 新規に誰かを神に登用するのは危険が大きい、だから自分達の遺伝子を利用して土地神を『生み出す』ことにしたのだな。 無論自分達と全く同じクローンも生み出したが、それでは種としての多様性を欠き、何らかのイレギュラーで一気に全滅しかねないということで、互いの遺伝情報を提供しあって様々な子孫を残そうとした。 まぁ平たく言ってしまえば男同士で子供を作ったわけだな。 で、その時に皆に人気があったのが竜神の樹だった訳だ。 いかにも格好いいし、皆研究者達は樹を敬っていたからなぁ。 で、獣人の遺伝子2種を合わせると、男同士だからかわからないが、片方の獣人特性しか現れない。 目や髪の特徴、耳や角は色々と変わるのだが、竜と犬の合いの子なんかは生まれなかった。 そして竜の遺伝子は他に対して『優性遺伝子』であるらしく、結果土地神は竜神だらけになってしまったというわけだ。 以降はこのシステムを利用して、一般獣人から遺伝子のみを提供してもらい、土地神の種としての多様性を広げていったそうだが、そこから少しずつ最初の意志は薄れて行き…」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ん? 二人共どうしたね? 相槌が随分と聞こえなくなってきたが?」

「し…森羅様…も…」
kamigami12.jpg
「もう限界っす…」

「何と!! 疲れかね!? 疲労かね!!? イカンぞ、疲労は学習の大敵だ!!! 今すぐ疲れを癒そうではないか!!」
「いや、疲労の原因はその学習…」
「実はこの祠、奥に通路が続いていてな、向こうに専用の温泉があるのだ!! 岩場に囲われているから誰にも見られずのんびり出来るぞ!!! そうだ! 守光君も少し疲れた顔をしていたな!! よし、彼も呼んで皆で入ろうではないか!!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・は?」


「誘って頂いておいてなんだが…」
kamigami13.jpg
「全然くつろげんな…」
「そっすよね…」

神様と一緒に風呂なんてくつろげるはずもなし、やはりちょっとズレてる森羅様のお心遣いにハハハと苦笑いする茶道寺であった。

一方、文彦君は心の中で叫びました。


「(森羅様、マーベラス!!!!!)」


おしまい



はい、というわけで今回の短編、モノっ凄い読むのが辛い「設定紹介の巻」でしたー。 
以前からコメントなんかで書いていたものを少し纏めてみたのと、モノアオのその後をちょっと書いてみました。 
モノアオについては、例えば巨人の正体はなんなのかとか、お話の中ではハッキリと語られるわけではなく、話を通して読者が推察できるような流れを考えてました。 なので、登場人物・森羅様の視点からだとこれくらいの説明が限界なんですよね。 彼自身知らないことが多いんですよ。
そんなこんなで、のんけもで書けない内容はどこまで書けるかは分かりませんが設定集に載せようと思ってます。 のんけもで書かれるのは多分ここぐらいまでだと思います。

ちょびっとだけ補足。 樹さんの「完全模倣犯」について。
彼の能力は「構成情報が増加する物体」は模倣できません。 単純に言えば常時成長するもの、「生物」ですね。 「直接触れることが絶対条件の能力」と以前睦月君が語ってましたが、実際には例えば人に触れてその人を模倣できるかというと出来ないんですよね。 模倣に必要な血液量という問題もありますが、カエルやハムスターでもやっぱり模倣できません。 惑星もマクロ的に生物で、情報はやはり随時増加しているので、時間停止させないと模倣できなかったんですね。
ただし、情報量の増加量次第では模倣が可能です。
例えばひとつの臓器ぐらいなら模倣できます。 なので、最終決戦時に分核を模倣できてます。
心核は、心臓と融合してしまう特殊な核(その為、心臓の付近の表層に模様が浮き出ます)ですが、これも直接触れることが出来れば模倣が可能です。 保有している情報量は莫大ですが、情報増加量は心臓などの臓器とほぼ変わらないんですね。 問題になるのはあくまで「増加量」のみという変な能力なんです。
ただ、調査の為に自身の体を提供してくれた当時のグレイの心核を彼の能力で模倣するためには、グレイの胸を外科手術で開いて、心臓の全体を生の手で触れなければならず、かなりのリスクを負うことから行えませんでした。 その点、クローン技術なら注射器のような細い道具で心臓部の細胞の一片でも採取できればそこから複製が可能だったので、最終的にはこちらを採用しました。
樹としては、大切な友人の体を傷つけたくなかったというのが一番大きいでしょうね。 だからこそ、グレイを呼んだとき、既にクローン技術の方を用意していたんですね。 結果廉価バージョンしかできなかったわけですが、樹はそれで満足していたはずなんです。
あとは自力で全てを解明してみせる、と。
その彼の願いは、遥か未来で双子が叶えてくれるんですけどねw

ちなみに今回のタイトル、ニコニコで大流行している「エルシャダイ」ではありません。
仮面ライダー555のOPの一説をもじっただけですw 
「小さ~な星の~話を~しよう~♪」
森羅様が温泉で歌っているのはきっとこの歌(笑)

ではでは、おつかれさまでしたー!!
次の更新は、メインキャラ第2話二人目行く予定です~!!

のんけも | 16:06:39 | Trackback(0) | Comments(37)
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