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トラトラ

Author:トラトラ
トラトラの日記です。
『のんびり獣道』というお話を掲載させて頂いております。
流す程度に読んでみて頂けると嬉しいです。

※注意事項です※
○コメントレスが非常に遅くなっております。 お急ぎの要件、レスが早く必要だという場合は、個別にレスが付けられる拍手コメントですとすぐにお返事が付けられますので、そちらのご利用をお願い致します。
○コメントにお話の予想やネタバレになりそうな内容を書き込まれる場合は、非公開でお願い致します。 ただ、拍手コメントは非公開にされますとレスが書けなくなりますのでご注意下さい。
○一つの記事に複数回コメントを書き込まれる場合は、三回までとさせて下さい。
◯楽しい場所にしたいですので、何かしら(アニメや漫画、社会情勢などなど)への批判やディスるといった内容、また自身の主義主張などのコメントへの記載はご遠慮下さい。
◯トラトラ屋創作物で、お話に出ていない設定を尋ねるのはご遠慮下さい。 二次創作等で必要という際には、御自身で自由にお考え頂いて構いませんですので。


以上、宜しくお願い致しますです~!!

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源司編第二話「そのおもいのなをきみに」ー余
さてさて、今回はちょっとしたエピローグ、源司編「余(あまる)」をお送りいたしますです~!!
このお話は、本編の裏舞台的なお話ですので源司さんは全然出てきません…。 がっかりされたらごめんなさいです…!!
では、どぞ~!!


ピッ
プルルル…
「あ、鷹継君? メールくれてたのに、返事出来なくてすまなかったね。 あぁ、ちょっと立て込んでいたものでね。 うん、今どこかな? うん、なら虎伯さんも一緒かな? うん、うん、じゃあそこで待っててもらえるかな? 今からそっちに降りていくから。 うんそう、今俺も虎鉄のマンションだから」

甥っ子の上着を借りに寝室に入った時、一応携帯をチェックして正解だった。
外の空気を吸わせると言って部屋から連れ出した甥っ子の鼻を、ちょいちょいと弄ってやる。
赤ん坊となった甥っ子は、くすぐったそうに笑いながらこちらを見ている。

「どうやら、家族サービスに貢献できそうだぞ?」
その言葉を甥の虎鉄は、キョトンとした顔で聞いていた。


「そ、そんな…一体何があって、こんな…」

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「こんな可愛くなってしまったんじゃ、虎鉄たんんん~!!!!!」

大ハッスル状態の祖父・虎伯に、赤ん坊の虎鉄は不思議そうな目を向ける。
祖父の顔に一生懸命に手を伸ばしながら、「あー!」と可愛い声を出した。

「おぉおぉ、どうした? ん? じいちゃんのお目目の色が珍しいのかの? それとも髪の色の方かな~?」

ニコニコ顔で自分の顔を赤ん坊の手元に持って行ってあげると、虎鉄は祖父の瞼や髪を不思議そうにペチペチたたきながら、楽しそうにまた声を出した。

やはり赤ん坊に戻っても血縁は敏感に感じ取るのか、赤ん坊の虎鉄はすっかり祖父に懐いてしまった。 虎伯も見ていて恥ずかしくなるくらいのじじバカぶりを発揮し、普段の彼からは想像もつかない、四つん這いの馬乗りごっこなどして赤ん坊と戯れている。 パリっとした黒のスーツが台無しだが、本人は全く気にする様子もない。

その姿を見ているだけで、石動は思わず口元が緩んでしまう。
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「良かったね、鷹継君」
「! 隼父さん、す、すみません。 そんなに喜んでいられるような状況ではありませんのに…」
「いや。 虎鉄の仲間達に任せておけば、多分大丈夫じゃないかと思う。 頼もしい仲間ばっかりだからね。 夜には虎鉄も元に戻ると思うし、ホワイトデーのお返しはまた夜に改めてで構わないかな?」
「えぇ、虎伯様もそうお思いでしょう。 また改めてお伺いいたします」
「俺も夜には時間が空くし、今夜は二人で飲まないか?」
「ご…ご迷惑になりませんか…?」
「全然。 良ければうちに泊まっていかないか? 虎鉄が掃除してくれたばっかりだから部屋も綺麗だし」
「は…はい」
「それと、俺には敬語なんていらないからね。 家族なんだから、ね?」
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「う…うん、ありがとう…隼父さん…」


遠くで、フクロウの鳴く声が聞こえた。
屋敷の裏がすぐ山になっているため、昔はよくこの声で、同じように夜中に目を覚ましたものだ。

だが、年をとってからは耳も随分遠くなり、眠りの深さも相まってか、この声で目を覚ます事などなくなってしまっていた。
不思議に思いながら上半身を起こす。 

何だろう…? やけに体を軽く感じる…
普段なら起き上がるのでさえ少し気怠く、寝起きは特に体を重く感じるのに、
一体どうしてしまったのだろう…?

部屋の明かりをつけようと立ち上がりかけた時、襖の向こうの廊下からドタドタと荒い足音が聞こえてきた。
その足音を、彼は知っている。
だがそれは、もう二度と聞けない音のはずであった。

なぜならその足音の主もまた、自分と同じく年老いてしまったからだ。
こんな大きな音を立てて走る力など、もうその方には残っていないのだ。

だが、疑問に答えを出す間もなく、部屋の襖がスラっと開けられた。

「創平!! 起きているか!?」
「け、恵蔵様…!? 一体どうなさって…」

足音の主は、やはり恵蔵その人であった。
どうしたのだろう…? いきなり昔ほどにお元気になられたのだろうか…?
月明かりを背にしているため、その姿が良く見えない。

状況を確認しようと電灯の紐に手をかけると、
「ちょっと外に出んか!? お前の姿、人工の光の下でなく、月明かりで見てみたい!」

そう、恵蔵が不思議なことを言い出した。
逡巡する門脇創平の手を強引に取ると、美作恵蔵は親友を部屋の外へと連れ出した。

月明かりの中、真っ直ぐ自分を見る恵蔵の姿を確認したとき、
創平は、とっさに声が出なかった。

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「…恵蔵様……?」

そこにいたのは、若かりし頃の彼だった。
共に多くの時間を過ごし、心を通わせ、
密かに想いを寄せていた…精悍な彼が、そこにいた。

何が起こったのか全くわからず、呆然としている創平に、
若き恵蔵は、優しく微笑みかけた。

「…良かった」
「……? 何が…ですか…?」
「創平も…」
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「若返ってくれていて…」

その言葉が脳に達するまで、しばしの時間を要した。
ハッと気が付くと、己の腕を月明かりの下に晒してみる。

血管ばかりが目立っていた、骨と皮の集まりに成り下がっていた腕は、
昔のような若さを取り戻していた。
服を肌蹴てみると、身体からもみすぼらしさが消え、張りのある筋肉が戻っていた。
恵蔵を見ると、彼も楽しそうに着物を肌蹴ている。

その、昔と変わらぬ逞しい胸板に、頬が染まる。
「一体……何が…?」
「わからぬ。 だが、願わずにはおられぬな」
「何を…ですか…?」
「これが、月明かりが見せた…一晩だけの幻でないことを…だよ」

そう言って恵蔵は、創平の唇に己の唇を重ねた。

そして月明かりが照らす中、二人は強く抱きしめ合った。
互いの身体の若々しさに震えつつ、互いに目尻に涙を溜めた。

まるで、そう…

恵蔵が失ってしまった40年が
創平が踏みにじられ続けた40年が

二人のもとに戻ってきたかのような、そんな奇跡に思え、
二人は小さく、声を出して泣いた。


「…若返りか、随分と思い切ったことをしたなぁ」
「まぁね。 あの二人は、神によって人生を蹂躙されたんだから、これくらいのことはこっちでしないとさ」
「時間を巻き戻しちまえば失うものも多いだろうが、この機能は記憶が消えねぇから便利だわな。 しかし、周りは目ん玉飛び出すぞ?」
「先にあの家の現当主に打診済みだよ。 快諾を得られてなかったらさすがに勝手にはしてないよ」
「そっか…。 二人が心から喜んでくれるんだったら、それに越した事ぁ無いか」

鬼種の始まりたる最高神は、話をしている相手をじっと見る。

「…お前は、それでいいのか…? せっかく長い年月かけてあそこまで成長したのに…」
「うん。 僕はさ、好きな人に喜んでもらえるのが、一番嬉しいから」
「そっか。 何か、懐かしいな」
「そう? じゃ、ちょっと行ってくるね」

照れくさそうに手を上げて駆けていく親友を、彼も手を上げて送り出した。
姿が見えなくなると、失った目と腕にそっと手を伸ばす。

「どうした? 鷹人?」
建物の中から、源司のオリジナルが姿を現す。
「おぉ、通信簿お疲れさん」
「はは、私が自らやったのバレバレか」
「まぁな」
「睦月は?」
「オッサンの所。 邪魔すんなよ?」
「せんよ、そこまで野暮じゃない。 それより、腕…どうかしたのか?」
「あ、いやな…」

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「…アイツも、随分強くなったなぁと思ってよ。 もう少ししたら、この戒めも無くしてもいいのかなってな」
「睦月がそれを見るたびにつらい思いをするのを承知の上で、あえて治せる腕を治しておらんのだからな。 鷹人は相変わらず外見に似合わず優しいのう」
「意地が悪いって言うんだぜ? あと、外見は余計だ」

二人は顔を見合わせ、そして互いに笑い合った。


そこは、小さなビルの屋上。
神となった自分達が暮らすこの閉ざされた世界で、そこは遥か昔と全く変わらぬ姿で存在している。

そこは、彼にとって思い出深い場所だった。
そこは彼が、想い人と最初に出会った場所だった。

空を見上げると、どこまでも広がる真っ青な空に、のんびりと雲が漂っている。
外の世界は現在夜だが、ここには時間的な概念が存在しない。 ここに生きる者達が、無限に生き続ける者達であるが故だ。
そのうちの一人、金髪碧眼の最高神は、彼の想い人に言われ、ここで彼を待っている。

一体、何だろう…?
二人に見られたくないようなことを、ここでするのだろうか…?

そう考えると、少し鼓動が早くなる。
自分のそういうところが、少し恥ずかしくて頬が赤くなる。

「クロム」

自分の名前が不意に呼ばれ、心臓が飛び出すかというほど驚いた!
邪な考えを心の奥底にしまい込むと、表情を整えて声の主の方を振り向く。

「一体どうし…」
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「…お待たせ」

「……は…」
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「半ズボンだぁあああああああ!!!!!」

「はは…ビックリした?」
「いい、一体何が…!!!?」

「使っちゃった、若返り」

「!! そんな…どうして…?」
「…こうして、喜んでくれるところが見たかったから」

少年は、こちらの股間を指さしている。
そこが、見事にテントを張ってしまっていることに、再び絶叫を上げてしまう。
「い、いや…その…こ,これは…!!」

恥ずかしがる彼の身体に、少年はそっと自らの身体を重ねる。

「クロムは、僕のもろ好みの男性だから、僕もクロムの好みの姿でいたいんだ」
「…睦月…」
「昔の呼び方に戻っていい…? 実は僕ね、ちょっと背伸びしてたんだ」
「背伸び…?」
「貴方にもっと近付きたくて、恋人気取りで大人ぶって…でも、やっぱり僕はこれでいい。 僕はずっと、貴方を『クロムさん』って呼んでたい」
「……睦月君…」
「懐かしいね、お互いをそう呼ぶの。 本当に懐かしい…」

少年が強く身体を抱きしめると、彼もその手に力を込め、強く身体を抱き返す。

「…ただいま……クロムさん…」
「おかえり…睦月君」


「えと……た、ただいま…」
「おかえり~! 父さん!!」

撮影が終わり、息子の自宅を訪れた父は、息子に言われたとおりに挨拶した。
何とも気恥ずかしいが、それ以上に嬉しさが込み上げる。
ここは、家族が待っていてくれる、自分の「家」なのだ。

「うわ~!! 美味しそうー!!!」

おみやげに買って来たケーキを開け、息子の虎鉄が感嘆の声を上げる。
いつも行動が裏目にでる父だが、今回は大正解だったようだ。
「父さん、お前がどれを食べたいかよくわからなかったから、適当に見繕ってもらったんだが…」
「うんうん、もう全部美味しそう~!!! お皿持ってきますから、父さんも一緒に食べましょう!!」

尻尾をふりふり台所に行く息子の姿を、父・鉄志は満面の笑顔で見ていた。
長期間のドラマの撮影の疲れも、あっという間に吹き飛んだ。

「それ、どこのケーキ屋さんですか? 自分も買いに行ってみたいな~」
「えと…お前にはあまり嬉しくない場所にあるんだが…」
「嬉しくない場所?」
「前にウチがあった場所…あそこの近くに出来てたんだよ」
「へ~! あの辺も懐かしいなぁ~。 そういえば家の近所で、ケーキ好きなお兄さんと仲良くなったっけ」
「そうなのか…?」
「うん、小学校の低学年くらいだから、結構おぼろげなんですけど。 優しいお兄さんで、大好きだったんですよねぇ…。 懐かしいな~」

言いながら、箱に入ったケーキを全て小皿に乗せた。
「全部今食べちゃうのかい…?」
「いやぁ、何だかお腹がすいてしまって。 二人で全部半分こずつ食べましょう?」
「た…食べきれるかな…」

鉄志が不安に駆られていると、部屋のチャイムが高らかに鳴った。
「ちょっと待っててくださいね。 は~い!!」

ドアの前には、首元の蝶ネクタイを直している人物が立っている。
可愛い孫がドアを開けて、自分の名前を呼んでくれるのをそわそわと待っている。

ドタドタという足音と共に、のんきな声が聞こえてくる。
有能な部下がそばにないことに不安を感じつつ、小さく咳払いをすると、ピッと背筋を伸ばした。

「は~い、今開けま~す!」


おしまい。



さて、そんな訳でちょっとしたエピローグでした。
最後はちょっと尻切れトンボっぽいですが、アニメで言うと画面が暗転して、ドアが開く効果音が入って終わりって感じですw
文章ではなかなか表現できないですね、申し訳ないです(汗)

ちなみに今回のシリーズの「始・続・終・余」、既にお気付きの方もいらっしゃいましたが「創竜伝」という小説に出てくるドラゴン4兄弟の名前から頂いてます(笑) 続編全然出てませんが、自分はそもそも「黄土のドラゴン」で止まっちゃってるんですよね…。 内容も既に覚えてなかったり…。

これでメインキャラ第2話シリーズ、残すは最近めっきり出番がない師範(笑)
どんなお話になるかは、設定集を持っているとちょっと垣間見えたり? お楽しみにです~!!

それと、ご要望が多かった裏イラストをアップしました。

nagiura.jpg

久々の裏トラ屋更新、お楽しみ頂けると嬉しいです~!!

本当は今月にもう一回更新したかったのですが、やはりゲームシナリオとの同時進行ですと月一更新がやっとみたいです…。 すみません!!

もう一つだけ。
来週頭に同人誌印刷申し込みますので、今週の日曜日でのんけも設定資料集アンケートは終了とさせていただきますです。 ご協力頂きありがとうございました!!

それでは、また来月~!!!

のんけも | 12:26:41 | Trackback(0) | Comments(25)
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